各国の企業活動における人権問題などを調べて対応を促す国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会は、去年の夏に日本で初めて行った調査の報告書を公表し、ジャニー喜多川氏による性加害問題のほか、さまざまな人権問題を指摘しています。

具体的には
▽政府から独立した人権機関がないことに深い懸念を示し、救済を求めるうえで障害を生じさせる可能性があるなどとして、人権機関を設立するよう勧告しています。

このほか
▽賃金や管理職登用などにおける男女格差や
▽東京電力福島第一原子力発電所で廃炉や除染作業などを行う作業員の賃金や健康の問題
▽アニメーション業界の長時間労働の問題などについて課題を指摘しています。

報告書に対する日本政府の見解もあわせて公表されていて、この中で一部の指摘については「事実誤認や一方的な主張と思われる事項が含まれている」などとコメントしています。

国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」の事務局長の小川隆太郎弁護士は「企業が人権を尊重する責任を果たせるよう、国が仕組みを改善すべきという提言が多い印象を受けた。法的拘束力はないものの真摯(しんし)に受け止め、指摘を踏まえて国際的な基準とのギャップを埋められるよう取り組むことが必要だ」と話しています。

報告書は来月下旬に国連人権理事会に提出される予定です。

被害訴えてきた人「画期的で重大な出来事」

国連人権理事会の作業部会が公表した報告書の中で、ジャニー喜多川氏による性加害問題も言及されたことを受け、被害を訴えてきた「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の石丸志門さんは「国連に関係する機関が一企業を名指しして問題提起をしたことは、エンタメ業界にとって画期的で重大な出来事ではないかと思います」とコメントしています。

また、被害を申告した人への補償を進めている『SMILE-UP.』に対する指摘を踏まえ「弁護士費用が被害者本人の自己負担になっていることを容認できないとするなど、具体例を示して非難していた点もありました。そうした点は、被害を訴える人にとってとても重要で、『SMILE-UP.』は指摘されたことについて、改善をしていってほしい」としています。

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