【NQNニューヨーク=矢内純一】15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6日続落し、前週末比248ドル13セント安の3万7735ドル11セント(速報値)で終えた。米消費の底堅さを示す経済指標を受け、米長期金利が上昇。株式の相対的な割高感が強まり、ハイテク株を中心に売りが優勢となった。セールスフォースが大きく下げたのもダウ平均を下押しした。

15日朝発表の3月の米小売売上高は前月比0.7%増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.3%増)を上回った。2月分も上方修正された。15日の米債券市場で長期金利が上昇(債券価格は下落)し、4.6%台半ばと昨年11月以来の高水準を付ける場面があった。金利上昇で株式の相対的な割高感を意識した売りが出た。

米景気が底堅さを保つ中、インフレの沈静化には時間がかかるとの見方が広がっている。市場では「米連邦準備理事会(FRB)による利下げが市場の想定ほど早く始まらないことへの不安が強い」(インガルズ・アンド・スナイダーのティモシー・グリスキー氏)との声があった。

中東の地政学リスクを巡る警戒も引き続き投資家心理の重荷となった。イランが13日にイスラエルに報復攻撃をした後、イスラエルも再報復の構えをみせる。米欧の主要国はイスラエルに自制を求めるものの、対立が激化することへの懸念は根強い。

朝方は買いが先行。取引開始直後にダウ平均の上げ幅は400ドルを超える場面があった。今月に入って前週末までに1820ドルあまり下げた後で、主力株の一部に押し目買いが先行した。朝発表の1〜3月期決算で売上高にあたる純営業収益と1株利益が市場予想を上回ったゴールドマン・サックスが高く始まったことも支えとなった。

ダウ平均の構成銘柄では、データ管理システムを手掛ける企業の買収に向けて協議を進めていると伝わったセールスフォースが大幅安となった。アップルも下落した。1〜3月期のアップルの世界のスマートフォン出荷台数が減少したとの調査が重荷となった。マイクロソフトとビザ、ホーム・デポも売られた。半面、インテルとユナイテッドヘルス・グループは上昇した。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、前週末比290.075ポイント安の1万5885.019(速報値)で終えた。世界で従業員を10%以上削減する方針だと伝わったテスラが下げた。

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