ロシア連邦統計局が17日発表した2024年1〜3月期の国内総生産(GDP、速報値)は前年同期と比べ5.4%増えた。ウクライナ侵略の長期化に伴って軍需が伸びたとみられるほか、小売りなど内需が拡大した。
GDPは4四半期連続のプラスで、前の四半期の23年10〜12月期(4.9%増)と比べても伸び率が大きかった。
ロシア経済発展省によると、1〜3月期は製造業が8.8%増となった。機械や化学、自動車などの伸びが目立った。ウクライナ侵略が長期化する中、軍需産業で生産が伸びているとみられる。プーチン大統領は2月、「軍需産業はこの一年半ほど良い結果が出ている。戦車の生産は5倍になった」と述べた。
欧米や日本の自動車メーカーが相次いでロシア市場から撤退し、自動車は中国車がけん引する構図が鮮明になっている。欧州ビジネス協議会(AEB)によると、ロシアの1〜3月の新車販売台数は前年同期と比べて86%増加した。
ブランド別にみるとロシア最大手の自動車メーカー、アフトワズが首位を維持した。2位以下は中国メーカーが販売を伸ばしており、欧米車などの撤退分を補っている。中国製の自動車部品を使ったロシア国内の工場での組み立ても広がっている。
非製造業では個人消費が伸びており、小売りは10.5%増となった。ロシア家電量販店大手エムビデオ・エルドラド・グループは24年1〜3月期に首都モスクワなどロシア各地で15店舗を開店した。ロシアメディアによると、同社は24年通年で前年比6割増の100店舗を出店する計画だ。
建設は3.5%増となった。前年同期(10%増)に比べると鈍化傾向が出ているものの、住宅などの需要が堅調に推移している。
内需の拡大や人件費の価格転嫁が進み、1〜3月のインフレ率は7.6%と2四半期連続で7%を超えた。
ロシア中央銀行のナビウリナ総裁は4月の声明で「インフレ率を目標の4%近くに戻すためには、金融引き締めをより長期にわたって維持する必要がある」と述べ、16%の政策金利を据え置いた。
ロシアのGDPは24年通年では3%以上のプラス成長が続くとみられている。国際通貨基金(IMF)は4月に公表した経済見通しで、ロシアの24年成長率を3.2%に上方修正した。ウクライナ侵略開始後の対ロ制裁で低迷した22年の反動増があった23年(3.6%増)には届かないものの、内需中心に成長が続くとみられている。
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