欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会は17日、米マイクロソフト(MS)に対して、同社の生成AI(人工知能)を使って作られる「ディープフェイク」などへの対応策について、情報を提供するよう要求した。EUでは6月に欧州議会選を控えており、ネットで拡散される選挙に関する偽情報対策の一環との位置づけだ。

 今回の要求は、EUのデジタルサービス法(DSA)に基づくもの。EU域内の月間利用者数が4500万人を超えるMSは、影響力の強い巨大プラットフォーマーとして、有害コンテンツへの対応などが義務づけられている。

 欧州委が問題視しているのは、AIとのチャットなどで簡単に画像が生成できる、MSが提供する「コーパイロット」と「イメージ・クリエーター・フロム・デザイナー」の2機能。これらの機能を使って作る「ディープフェイク」と呼ばれる精巧ななりすまし画像が拡散されるリスクを、いかに想定し、対策を講じたか、MSは回答しなくてはならない。

 MSは3月が期限の要求に回答しなかった。欧州委はDSAに基づく法的拘束力のある要求だとして、MSが27日までに回答しなかったり、回答が不十分だったりした場合は、全世界の売上高の1%を上限に制裁金を科す可能性があるとしている。(ブリュッセル=牛尾梓)

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