米ウォール街=ロイター

【NQNニューヨーク=稲場三奈】15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸して始まり、午前9時35分現在は前日比220ドル73セント高の3万9778ドル84セントで推移している。朝発表の4月の米消費者物価指数(CPI)は上昇率がおおむね市場予想の範囲にとどまった。インフレが再加速し、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ転換が遅れるという警戒が後退。3月28日に付けた最高値(3万9807ドル)に迫っている。

4月のCPIは前月比の上昇率が0.3%と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.4%)を下回った。エネルギーと食品を除くコア指数は前月比0.3%上昇と市場予想に一致した。コア指数は前年同月比の上昇率が市場予想と同じ3.6%となり、3月(3.8%)から伸びが鈍化した。

市場では、4月のCPIが「再加速しなかったのはよいニュースだ」(インデペンデント・アドバイザー・アライアンスのクリス・ザッカレリ氏)との声が聞かれた。米債券市場では長期金利が大幅に低下している。一時は前日比0.10%低い4.34%と、およそ1カ月ぶりの低水準を付けた。金利の低下で相対的な割高感が薄れたとして、ハイテク株を中心に買いが入っている。

一方、米景気の減速感が強まっていることは、株式相場の上値を抑えている。15日発表の4月の米小売売上高は前月比で横ばいと、市場予想(0.4%増)に届かなかった。前月分は0.7%増から0.6%増に下方修正された。同日発表の5月のニューヨーク連銀製造業景況指数はマイナス15.6と、市場予想(マイナス10.0)を下回った。

個別では、ホーム・デポやキャタピラー、ベライゾン・コミュニケーションズが高い。セールスフォースとアップルも上昇している。半面、ボーイングやナイキ、シェブロンは下落している。

ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は3日続伸して始まり、前日に付けた最高値(1万6511)を上回っている。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は続伸し、3月28日に付けた最高値(5254)を上回って推移している。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。