クーデターで政権を掌握した国軍への抵抗を続ける、ミャンマーの民主派と少数民族の代表らが15日、東京都内で記者会見し、国軍による弾圧や現地の戦況について説明した。
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会見したのは、クーデターで拘束されたアウンサンスーチー氏を支持する民主派らが設立した「統一政府」(NUG)で教育、保健の両大臣を務めるゾー・ウェー・ソー氏や、少数民族武装勢力「カレン民族同盟」(KNU)で外交を担うソー・ニムロド氏ら。
会見での説明によれば、クーデター当初に国軍が掌握した地域を民主派らが奪還するなどし、現在は国土の65%、56の都市を民主派らが維持している。一方、それらの地域に医療品が行き渡らず予防接種ができないなど、国軍が妨害して医療を武器として利用していると非難。国際社会の支援を求めた。
国軍と民主派らには、東南アジア諸国連合(ASEAN)が関与して暴力停止などを取り決めた5項目の合意があるが、ゾー・ウェー・ソー氏は「あまり成果がない。事態打開のために日本がリーダーシップを発揮して欲しい」と訴えた。
ミャンマーでは昨年10月以降、国境地帯の少数民族武装勢力が国軍への一斉攻撃を始め、国軍が劣勢に立たされている。今年4月には、KNUなどの勢力がタイ国境の東部カレン州ミャワディの制圧を宣言した。ソー・ニムロド氏は「劣勢の国軍は何としてもミャワディを取り戻そうとしている」との見方を示した。
現地の人権団体・政治犯支援協会(AAPP)の集計などによれば、国軍の弾圧で5千人以上の民主活動家や市民が死亡した。その中には600人以上の子どもも含まれるという。(鈴木峻)
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