MMORPGはおもしろい。
※この記事は『HIT : The World』の提供でお送りします。
“もうひとつの世界で生活するゲーム”とも言われるMMORPGの魅力はどこにあるのか。今回は時間を忘れて存分に語っていきたいと思います。
さぁ、それでは始めましょう!
椎名呼びました?
何ということだ。「さぁ」で自分の曲がコールされたと勘違いして、ミュージシャンの椎名慶治さん(SURFACE)がやってきてしまった。そんなことあるんですね。
『さぁ』は1998年11月にリリースされたSURFACEの3rdシングル。テレビアニメ『まもって守護月天!』の主題歌である。関東圏の一部コスプレイヤー(40~50歳くらい)はこの曲がかかると盛り上がる性質を持つ(※)。
※昨今はアニソンクラブイベント(通称、アニクラ)が隆盛だが、その前にはコスプレダンスパーティーという文化があった。クラブや区民館といったホールを借りて音楽(アニソン、邦楽、ユーロビート、テクノなど)を流し、コスプレをして踊るというもの。『さぁ』は関東イベントの定番曲だった。
どうしよう。MMORPGについて語ると宣言したばかりなのに、このままでは椎名さんのライブが開演してしまう(楽しそう)。この際だから椎名さんに聞いてみようか。MMORPGはお好きですか?
椎名ええ。大好きです。
ちょうどよかった。このまま椎名さんとMMORPGのよさを話し合おう。
なお、椎名さんの話し相手としてMMORPG好きの反王ケンラウヘルさんも参加。この記事を担当する編集者ミス・ユースケとは10年来の付き合いであり、椎名さんともゲームを通して親交がある。
椎名慶治氏
1998年にSURFACEのボーカリストとして『それじゃあバイバイ』でデビュー。以来『ショムニ』、『まもって守護月天!』、『NARUTO』など、さまざまなテレビ番組のテーマソングを手掛け、2011年からは本格的にソロ活動も開始。多岐に渡って活動を続けている。文中では椎名。
反王ケンラウヘル氏
オンラインゲームの運営に10年以上関わり続けた後に独立。人をゲームで楽しませつつ、自らも人生まるごとロールプレイを続けている。文中では反王。
ミス・ユースケ
ファミ通.comの編集者。そのほかに特筆すべきことなし。文中ではユースケ。
苦ではなく、すごく楽しいわけでもなく、ちょっと楽しいふしぎな時間。
ユースケ椎名さんはどういうスタイルでMMORPGをやってたんですか?
椎名だいたいこんな感じです。
椎名キーボードのファンクションキーを押すお仕事です。ハイレベルノートリアスモンスター(※)が湧くまで待って、湧いたらキーをポンと押してターゲッティング。ターゲットを取ったパーティーしか狩れないので、ずーっとこんな感じ。日によっては10時間くらい。
※ハイレベルノートリアスモンスター:『ファイナルファンタジーXI』における最強クラスのネームドモンスター。一定時間ごとに出現するため、出現待ちを続けるプレイヤーたちの間でファーストアタックの取り合いが激しかった。
ユースケ僕はいま完全に椎名さんを信頼しました。こっち側の人間だった。読者はきっとスタオベしてます。芸能人特有の「ゲーム好きなんです」アピールじゃなかった。
反王どうしました? 何か嫌なことありました?
椎名『FF11』は8年くらいやってましたけど、あの(ひたすら待つ)時間はふしぎですね。苦ではなく、すごく楽しいというわけでもなく、どちらかと言うと楽しいかな、みたいなあの感情。画面に集中して、たまにチャットでフレンドと笑い合って、そのときに湧くと「話しかけんなよ!」ってまた笑い合って。
失敗してターゲットを取られちゃったら取ったパーティーが全滅するのをじっと待つわけです。PKがないから茶々も入れられない。早くやられてほしいんだけど、ピンチになったらなぜか回復してあげたりとか。
ユースケ辻ケアルだ!
反王辻ケアルとか辻ヒールの文化、いいですよねー。最近はあまりできなくなったイメージ。
ユースケ僕は懐古厨的なところがあるので、穏やかな雰囲気はたしかにあったなと思います。居心地がよかった。その感じはいまも絶対残ってると思うんだけど、忙しさを感じることが多いかなあ。あのアイテムを取ろう、あのボスを倒そう、レベルを上げようって、つねに何かしている感じで。
椎名当時は(ログインすると)家に帰ってきた感覚がありましたよね。チャットで「ただいま」って。落ち着いて考えると何言ってんだって話なんですけど。
反王あまつさえゲームやってるのに「暇だー」と言い出すことありましたよね。暇じゃないだろ、ゲームしてるだろって。
椎名「暇だー」って言い合うのがいいんだよ。
ユースケ授業が終わったら部室に集まって、何もすることなく音楽とか流して「暇だー」って言うあの感じ。青春と同じエモさがある。
人生を変える出会いもある
椎名そう言えば僕、ゲームがきっかけで音楽の世界に入ったんですよ。小さい頃からゲームもゲーム音楽も好きで、プログラミングでキーボードを叩いてました。鍵盤じゃなくて。
ユースケ楽器のキーボードじゃなくてパソコンの方ですか。
椎名プログラムでC4と入れたらどの音が出るとか長さがどれくらいになるとか、全部プログラムで作ってみる。再生したら自分が思ったのと違う音が流れてきて、それでまた直して。そういうことをくり返してました。
最初はゲーム音楽を作りたかったんです。もともとコナミさんのサウンドがすごく好きで、ライブを観に行っていたくらい。『悪魔城ドラキュラ』とか『グラディウス』とか、そういう音楽を自分でも作りたいと思っていました。
ユースケコナミさんの矩形波倶楽部(※)ですね。
※コナミ矩形波俱楽部:1987年にコナミの音楽コンポーザーが結成したゲームミュージックバンド。当時のゲームミュージックブームの一翼を担った。
反王それなのに歌の方へ行ったのはどうしてなんですか?
椎名たまたま歌が歌えたから。もし歌えていなかったらミュージシャンにはなっていないと思います。楽器は触ってなかったわけですし。
パソコンのプログラミングからシーケンサーに移行したところで、高校でギタリストの相方と出会ったんです。僕の打ち込み音楽と相方のギターで始まったのがSURFACE。
ユースケこの取材、スタートの時点でおもしろい。いますぐWikipediaを更新したい。
椎名オンラインゲームで最初にプレイしたのは『ファンタシースターオンライン』です。
ユースケお、ドリームキャストの。
椎名4人でPvEのマップに行くゲームですよね。PvPは当時まだなくて、オンラインで人と接することのおもしろさをそこで知りました。その後、当時の大型MMORPGといえば『ファイナルファンタジー11』ということで、そっちに流れた感じです。
ユースケこの世代は『ファンタシースターオンライン』でオンラインゲームを知り、そこから『FF11』に行くか、それとも『リネージュ』や『ラグナロクオンライン』って人が多いですね。
椎名『リネージュ』と『FF11』で大きく違ったのが、『FF11』にはPK(プレイヤーキル)がないんですよね。(ゲーム系インフルエンサーの)オロナインさんは僕と同い年で、彼が出ている記事に「PKがあんまり好きじゃない」って書いてあって。『FF11』から始めたならそりゃそうだろうと思います。世代がいっしょだと、見ている世界も近いんだろうなあ。
ユースケその流れで『FF11』を始めて、当時はどんな感じでプレイしていたんですか?
椎名『FF11』は3つの国のどこからスタートするかを決めると、広いフィールドにポンと降ろされるじゃないですか。スタートした瞬間に。
よくわからないまま歩いてたら外に出ちゃって、なんか狩りをしている人がいたんですね。そしたらその人から「いっしょに狩りしませんか」って言われまして。チャットの文字が届いたときに、うわ画面の向こうに人がいるって衝撃を受けました。
いまでもその人の名前覚えていますもん。“Banana”。僕がMMORPGで初めて会話した人です。
ユースケいっしょに狩りをするのがいいんですよね。何でも自分でできるって強がるだけ強がっても誰かが居なきゃなんもできないし。
椎名めちゃくちゃ『さぁ』いじるじゃん。
反王僕も初めてMMORPGで話した人のことは覚えてます。“Shitsumon Ukemasu”って人でした。僕がウロウロしていたら「初心者の方ですか」と声をかけてくれて、そこからいろいろ教わったという。
椎名優しい人。その人とのつながりはもうないの?
反王いまはないですけど、当時の思い出はずっと僕の根幹にあります。そろそろ初心者エリア卒業だねって頃に、チームを組んでいっしょに(つぎのエリアに)行こうよと提案したんですが、その人は「私はここに残る」と。このゲームがすごく好きで、これからもここで初心者に教えていきたいって言うんですよ。もうね、感動しちゃって。これはすごい世界だぞと。
椎名なるほど。初心者さんに拒否感が出ないように、楽しいゲームなんだよと伝えたかったわけか。ボランティアってこと?
反王ボランティアというか……そういうロールプレイだったんですよ。
ユースケチュートリアルキャラのロールプレイをするってすごくない? だってそれ10年も20年も前の話ですよね。
反王本当のロールプレイングゲームってこういうことなんだって。感情移入しちゃって「僕にも何かできませんか」とその人に伝えたんですよ。そしたら「初心者を見たら私と同じことをして」って言われまして。そこから20年、その教えをずっと守っています。
ユースケちょっと待って。それが理由でゲームポット(※)に入ったの!?
反王きっかけのひとつなのは間違いないです。これはまじ。
※ゲームポット:かつて存在していたオンラインゲーム運営会社。『スカッとゴルフ パンヤ』や『トキメキファンタジー ラテール』、『ウィザードリィ オンライン』などを展開。反王ケンラウヘルさんは『ファンタジーアース ゼロ』のGMを担当していた。
椎名ゲームの出会いって人を変えますよね……。僕もいろいろ楽しい経験をしました。そう言えばKinKi Kidsの堂本光一君も『FF11』やってたって話題になってたなー。
ユースケ芸能人の皆さんは家でゲームって人も多いみたいですね。忙しくてなかなか出かけられないから。事務所全体でゲームをやって、先輩から誘われることもあるんじゃないかな。
反王芸能人の方が同じゲームをプレイしているとうれしくなりますよね。有名なところだとGLAYのTERUさん(『FF14』プレイヤー)とか。いや、それで仲よくなれるわけないことはわかってるんですけど、つながってるんだなって感覚が味わえるのもまた楽しい。
ユースケ現に僕らこうして椎名さんと話してるしなあ。『さぁ』と『ゴーイング my 上へ』が好きです。
椎名急に?
ユースケ言っておこうと思って。『FF11』以降、ほかのゲームはやられました?
椎名その後の『FF14』は何か食指が動かなかったんですよ。いったんMMORPGから離れるんですけど、ネクソンさんが『FF11』のモバイル版を製作する権利を得たというニュースを伝え聞いて、スマホで『FF11』ができるのか! と。
ユースケ『ファイナルファンタジーXI リブート(仮)』ですね。
椎名こちとらPS2のハードディスクが壊れて5台も買い直して『FF11』やってましたから。その後にゲーム用のPCまで買ったし。そりゃ興奮しますよ。
ユースケさりげなくヘビーなこと言ってるな。
椎名で、ずっと情報を探してたら、そのうち検索結果のなかに『V4』(※)というタイトルが入ってきた。ゲームの画面写真を見てたら、何となく『FF11』を思い起こすんですよ。チャットの文字色もそうだし、リアル系の頭身のキャラもそう。
※『V4』:ネクソンが運営していたスマホ用MMORPG。2023年4月26日を持ってサービス終了を迎えた。
ユースケ昔からMMORPGを遊んできた人の中には「スマホゲームは違う」という人もいると思うんです。椎名さんはそういうタイプじゃないんですね。
椎名あとは『黒い砂漠MOBILE』も少し。西野七瀬さんがCMに出てたじゃないですか。お、西野七瀬と会えるのか!?
ユースケピュアか。
椎名これだけは言っておきます。言わせてください。
椎名会えませんでした。
ユースケたっぷり間を使って言うことじゃない。
反王ね。椎名さんおもしろいでしょ。こんな人が最初は『V4』でビデオレターを提供してくださって驚きました。リアルでお話ししたらめちゃくちゃおもしろい方で、いっしょにギルドもやって、仲よくさせていただきまして。
椎名『FF11』のときはリンクシェル(※)のマスターではなかったんです。一般人としてプレイしていたもので。『V4』はファンの皆さんも交えて、アーティストとしてプレイしていました。
※リンクシェル:『FF11』内のプレイヤー同士で結成するチームの呼称で、いわゆるギルドのようなもの。リンクシェル所属者のみに読み書き可能な専用テキストチャットを使用できる。
ユースケ周りにバレていなかったんですか?
椎名オフ会で初めて会ったときに「あれっ?」って反応はありました。
ユースケ椎名さん、オフ会行くの!?
椎名それくらい行きますよー。何となく察していたけど実際に本人に来られるとビビると、軽く文句を言われました(笑)。彼らと知り合ったのは10年以上も前ですけど、いまだにLINEグループで話したりしますよ。毎年さくらんぼを送ってくれる人もいて。
ユースケ何その理想の関係。居心地のいいゲームだったということですよね。
反王つながりといえば、僕はいまでも積極的にオフ会とかやったり事務所に人を呼んで遊んだりしています。(2024年)1月にもSURFACEのファンを何人か事務所に呼んで、みんなでピザを食べました。
ユースケ反王さんがSURFACEファンと仲よくなるってどういうこと? 遠くない? 反王さん→ゲーム→椎名さん→SURFACEのファン。やっぱり遠すぎる。
反王いっしょにゲームやったらもう友だちなので。そうそう。椎名さんのライブに去年初めて行ったらかっこよすぎて僕もバンドを始めました。(MMORPGの)ギルドダンジョンが終わった後に、Discord部屋に集まって練習するんです。部屋の名前は“部室”。
ユースケそういう友だち関係はいいですね。MMORPGのコミュニティーならではかも。せわしないゲームだとそういう関係にはなりにくい気がする。
反王いまのスマホMMORPGはずっとやり続けなくてもいいから気が楽、というのはあると思います。自動狩りとか。自動狩りはゲームじゃないと言う人もいるけど、拘束されないのはいいと思うんですよね。
椎名そうだね、ないと困るなー。時代の変化はありますよ。ゲームの遊びかたも時代とともに変化している。
ユースケ昔は「うちのゲームをずっとやり続けてください」という設計だったと思います。いまは何本も掛け持ちするのが当たり前だから。
反王ずっと遊び続けてほしいという気持ちもわかるんですけどね。がっつり遊び続けたい人もいて、やっぱりオンラインゲームは人生かけてハマれるものなんですよ。プレイヤーの皆さんに人生楽しくなってもらいたいという想いが捨てきれなくて、ゲーム会社に入ろうと決意したわけでして。
椎名本当に、ゲームって人生を変えるよね。
MMORPGに求めるもの
ユースケ改めましてプレイスタイルといいますか、『FF11』はどんな感じで遊ばれていたのでしょうか。
椎名当時はSURFACEの活動があまり活発ではなかったこともあって、けっこう没頭していました。仲間とチャットしてボスの討伐をして。もしSURFACEの活動が忙しいままだったら、MMORPGはやってなかったでしょうね。
ユースケ言い方は難しいですが、幸か不幸かといった感じ。
椎名30~40人くらいで巨大なボスと戦ったときに、すごい達成感があったのを覚えています。画面の向こうに人がいる感覚。まぁ総じておたくだったわけですね。当時は隠してましたけど。
ユースケ2000年代前半というと、そういうことを表立って言えない風潮がありました。ちょうど世の中の認識が変わりつつある過渡期だったんじゃないかな。
椎名声優さんが一般的に人気になる少し前でしたね。自分からあえて「MMORPGをやってる」とは言うことはなくて、ファンの皆さんにも当時はまだ言えなかった。
ユースケ「ゲームは達成感を得られるからいい」という説はけっこう前から出ていました。適度な壁があって、それを越えると褒めてくれる。教育にも有効なんじゃないかって説もあるんですよね、たしか。10人、20人の他人と協力することを学べる場ってそうそうないですし。僕らは昔からそんなちょうどいい気持ちよさを感じていたのかも。
椎名「ゲームはよくないもの」という意見はいつの時代も飛び交いますけど、それは過度なときの話。たばこも酒もやり過ぎたらだめ。食事だって食べ過ぎたらだめなんだから。バランス次第ですよ。そういう意味ではオートプレイもいいと思います。全部が全部手動よりは、手を離して自動でやってくれるほうがゲームに依存しすぎないで済む。
ユースケ適度に力を抜けるシステムとしてオートプレイがある。なるほどなあ。
ユースケ『V4』はどういう風に遊んでいたんですか? 『FF11』とは時代的にも違ったかと思いますが。
椎名ファンの皆さんから「私もいっしょにやりたいです」という声が多く挙がりました。みんなMMORPGをやったことがなかったのに。
ユースケスマホなら自分も持ってるから、ということですかね。PCよりも圧倒的にハードルが低い。
椎名何も知らないところからいろいろと覚えて遊んでくれて、いまとなっては「サブキャラを作ったほうが効率がいい」なんて情報交換し合ってます。MMORPGをやったことのない女子が。
ユースケゲーマーとしての成長率がすごすぎる。
椎名サブキャラを5人作って回して、僕より全然効率がいい。アイテム収集率も。一応リーダーなのにこれはまずいと、こっそり課金したりしました。
ユースケコソ練だ。
椎名MMORPGを遊んだことがなかったみんなが、僕抜きでも遊ぶくらいハマっている。これはやっぱりうれしいですね。僕がほかのスマホゲームを触ってみようと思ったら先にプレイしていて、「こっちの方がこうだ」と比べたり、PKされたらやり返しに行く。
ユースケレベルアップの角度がロッククライミングの壁くらい垂直。
椎名みんなを見てわかったことがあります。
椎名MMORPGはゲームをやってこなかった人や苦手な人でもハマれるジャンルという結論が出ました。
ユースケ僕、気付いてしまったんですけど。
ユースケファンの皆さんに話を聞いたほうがおもしろいのでは?
反王ふむ……。
反王それはたしかにそう。
椎名いま何で溜めて言ったの?
反王まじめな顔して言うの、かっこいいなと思いまして。
椎名ハマれるんだけど、のめり込みすぎなくていい。このバランスが大事。僕の場合は、
- 寝る前にオートプレイをセット
- 起床後、アイテムのドロップ結果などを確認
- シャワーを浴びたりする間に改めてオートプレイ
- 家を出る前にいったんドロップ状況を確認し、再度放置に切り替え
- 電車やタクシーでの移動中に確認
隙間の時間に遊ぶ感じです。これがちょうどいい。
ユースケ生活サイクルの一部だ。
椎名スマホMMORPGは窮屈じゃなくていいですよね。僕らは好きでゲームをやってるけど「あれやらなきゃ、これやらなきゃ」って追い詰められることもあって、それはあまりよくない。昔はどこかに出かけても「放置してるキャラがやられていたらどうしよう」って心配でしたから。
ユースケ勝手に追い詰められた感覚があるのはゲームに限った話でもないしなあ。いまはスマホひとつでどこでも遊べますもんね。見守り機能付きMMORPGみたいなもの。
椎名そうそう。気軽に遊べるのはいまの時代に合ってますよ。ただ、運営・開発側が気軽に遊べないものにしているケースもあると思います。これからのゲームにはそのバランスを求めたい。ガチな人に追いつける必要はなくて、でも誰でもある程度は成長を楽しめるような。
反王放置も必要ですけど、“ただ放置するだけ”のゲームにはなってほしくないですよね。放置で育成しつつ、そこにプラスで短時間で熱くなれるコンテンツがほしい。1日1時間、週に1回2回でもいいので。そこで一喜一憂して、また放置して強くしておくというサイクルが望ましい。
ユースケ何と、そういった部分を期待できる新作MMORPGの正式サービスが2024年4月17日にスタートするんです!
ええっ!? 期待の新作MMORPGは『HIT : The World』って言うんですか!!!???
※冒頭に書いたように、この記事は『HIT : The World』の広告となっております。
『HIT : The World』に求めていることを語り合う。あくまでも自然な流れで。
椎名スムーズな流れで『HIT : The World』の話に移行できましたね。
ユースケここまでわざとらしくやっておけば「ステマするな」とクレームが入ることはないはず。さぁ、始めましょう!
椎名さぁ……!?
反王そのくだりはさっきやったでしょ。
HIT : The World Teaser Movie
ユースケ『HIT : The World』はネクソンの新作MMORPG。おもな特徴はこれです。
- スマホとPCでプレイ可能。
- ターゲットした敵をオートアタックし、スキルは自分のタイミングで発動させる。MMORPGとしてはオーソドックスなタイプ。
- 3Dグラフィックがきれい。ファンタジー世界を描いていて、キャラ造形も細かい。
- リリース直後から最大10ギルドで争う“攻城戦”を実装。1ギルドの人数は50人まで。
- “誰もが参加できるエンドコンテンツ”や“団結すれば対抗できるバランス”、“プレイヤーの声を取り入れた調整”などを掲げている。
椎名週に1時間くらい熱くなれる。『HIT : The World』だとそのひとつが“攻城戦”って話なんですよね。
ユースケ10ギルドが参戦するという話でした。スケジュールは決まってないらしいけど、ざっくり週1回説が有力かな。
反王強い人たちが戦うGvGの大会も見たいと思いません?
椎名それはもう取り入れてもらおうよ。サーバー内のシンボル的な存在は必要でしょう。いちばん強い人というのは僕らから見たら神様みたいな存在で、いてくれないと困るんじゃないかな。
ユースケ自分のサーバーの旗を掲げてくれるヒーロー的な。
椎名すごい人がただのプレイヤーで終わらず、ヒーローとして認識されるような表現方法もMMORPGのおもしろさとしてあってほしい。ボス戦のときに先陣を切ってくれたらうれしいですよ。
反王“いっしょに戦ってる感”があると熱くなれますからね。『V4』だとトップチームのムービーが作られました。あれはかっこよかった。フィールドボス戦で「あの人が来ないと勝てないんじゃないか」と諦めそうなときに来てくれて「うわー!」って。みんなその人のところに集まって、あの空気はすごかった。
ユースケ少年マンガの1シーンじゃん。
椎名これ不思議なんですけど、ほかのサーバーの強い人は敵に見えてくるんですよね。うちのヒーローには負けてほしくない。
反王わかるぅー。どのサーバーがいちばん早く新ボスを倒せるかとか、競い合うのがいいんです。
椎名そう。競い合うのも必要ですよ。いがみ合うんじゃなくて、ちゃんとした競争ね。あとは初心者ギルドでも楽しめるコンテンツがあったらうれしい。運営側も開発側も、わかっていても頭を抱える問題なんでしょうけど。
反王そういったGvGコンテンツだと『リネージュ2 レボリューション』の“要塞戦”はよくできていると思ってます。サーバーを越えていつでもどこでもマッチを組める。あれならトップクラスのギルド以外の人も楽しめるだろうなぁ。
ユースケさて、MMORPGにほしい要素はいろいろあります。『HIT : The World』ではどうなのか見ていきましょう。
椎名日本のプレイヤーから韓国の開発側に進言したって話は聞いています。その結果、韓国側のトップの方が動いてくれたそうですね。
反王「日本にはMMORPGに対してこんなに熱い人たちがいるんだ」という話になって、ぜひ会いたいということでパーティーの開催が決まったそうです(※)。
※2023年12月と2024年2月に、少人数のMMORPGプレイヤーやメディアを招いて懇親会的な場が設けられた。椎名さんも反王さんも出席。
ユースケ僕もそこで実機に触れて感じたんですけど、
ユースケキャラのグラフィック、服装、あとは仕草……あざといなー。
反王言っていいの? たしかにそう思ったけど!
ユースケだってこれですよ。
椎名うん。
反王何も言えなくなっちゃった。
ユースケ悪いことじゃなくて、ちゃんとトレンドを追ってるなと思ったんですよ。悪いことじゃないからね。
椎名必死か。キャラに関して不透明に感じる部分としてはキャラクタースキン(外見)の扱いかな。クラスをスキン的に装備してプリセットを3つ登録。それを瞬時に切り替えて戦うと。“自分のキャラクター”がいないんじゃないかなと思って。
反王自分を投影するキャラクターがころころ変わってしまうのはどうなの? という点ですね。外見をお気に入りキャラで固定したり、見た目を自分で設定できるかどうかは気になりますね。
椎名自分のキャラが好きな人はけっこういますよね。このキャラがかっこいいと思ったとしても、性能面の理由で2軍落ちになったらかわいそう。固定できたほうがキャラへの愛着は湧きやすいと思います。最終的にその場にいるプレイヤー全員がみんな同じ強キャラの姿になる可能性もあるわけで。
ユースケ僕も自キャラ大好き勢なので、外見だけ反映されるアバターの機能は用意してほしい。
椎名強さでちっちゃいキャラを選んだのに「SURFACEのボーカル、ああいうのが好きなんだ」って疑われるかもしれないので……。信じて! 僕はいつもかっこいい男キャラにしてるんだって!
ユースケ一大事だ。キャラ変更のUIはどうなってたかな。パーティーのときのプレイ動画を見てみましょう。端末はiPadです。
椎名パッと見た感じ、外見の固定機能もありそうかなー……なかったとしても、後で実装されたらいいか(※)。それにしてもタブレットでもグラフィックきれいですね。
※外見の固定機能:この座談会の数日後、外見を固定できるとアナウンスされました。めでたしめでたし。
反王キャラの作りがしっかりしてますよね。男女両方とも。
椎名最近は武器(クラス)ごとに性別固定のゲームも多いけど、どっちも選べるのはいいよなあ。
反王キャラの数が倍になるとグラフィック制作の工数も倍になりますからね。それなのに男女とも選べるのは好感度が高い。
ユースケ『HIT : The World』はどんなキャラで遊びたいですか?
椎名双剣かなーと思います。『FF11』ではナイトをやっていて、前衛が好きなんですけど『HIT : The World』の双剣は中衛なのかな。剣気を飛ばして戦う、みたいな。反王さんは?
反王最近ヒーラーに目覚めました。ヒーラーってちやほやされるんですよ。それがおもしろくて。ただ、見た目的には盾とハンマーが好きです。
ユースケ僕はいやらしいお姉さんキャラでいきます。
椎名いやらしい性能ということですか? デバフ特化型みたいな。
ユースケいえ。
性の方です。
椎名性の方かぁ。
反王今日イチで真っ直ぐな瞳をしていますね。
椎名プリセットは3つ設定できるんでしょ。となると、ひとつはヒーラーが定番になるのでは。
反王僕もそう予想してます。あとは遠距離クラスを入れて、残りひとつが個性枠になるのかな、と。
椎名戦闘中でもすぐ切り替えられるからね。それでどうコンボを組むか。
反王1回はすぐに切り替え可能で、2回目の切り替えでクールタイムが10~20秒くらいかかる感じでした。こういうMMORPGってオートバトルが基本ですよね。それがつまらないという声もありますけど、そうかなあ。けっこう考えることがあっておもしろいと思うんですけど。
椎名スキルの連携をしてからプリセットを切り替えて、またスキルを連携させていく。そこで個性を出せればいいよね。
椎名あ、そうそう。(2月のパーティーで試遊したとき)乗りものはなかったみたいだけど、実際はどうなんだろ。
反王たしかになかったような。ペットシステムはありましたけどね。連れてるとステータスがアップするような。
ユースケ遊んだ感じ、ワープ移動がメインになりそうだったかな。移動速度はあまり気にならない仕様なのかも。
反王ライドにも個性が出るので、あるとおもしろいんですけどね。上からすごい竜が降りてきて「あの人、あれ取ったの!?」って驚きたい。
椎名見た目を楽しむコレクターアイテムはほしいですよ。あと生産ね。街の外に出たりしないで、ずっと生産したい人もいるじゃないですか。
ユースケ僕はまさにそっち系。ゲームの世界のヒーローになりたいんじゃなくて、その世界で生活したいんです。ふつうの一市民になりたい。
椎名(『FF11』で)職人さんに素材を渡してお願いしたなー。「失敗したらごめんね」と言われて完成を待つのが楽しいんだこれが。最近はそういうのも少ないなぁ。
ユースケ移動するにもテレポート屋さんがいて、代金を渡して飛ばしてもらったりしましたよね。
椎名そうそう! そういうシステムがなかったとしても、ただ単に戦うだけのゲームになっていなければいいなと思います。ほかのプレイヤーとのつながりを何かしらで感じたい。
反王今回の企画でいろいろなユーザーのインタビューに立ち会わせてもらっていますけど、重課金のユーザーほど「微課金、無課金の人を大事にしろ」と言うんですよ。みんな口を揃えて「人数がすべてだ」と。
椎名韓国や台湾ではもうサービスされてるんですよね。そっちだと課金しないと手に入らないものも、通常のプレイで入手できるようにすると、そういう話もありました。あとは入手確率が気になるところかな。
ユースケ課金のバランスは難しいでしょうね。忙しくてなかなかプレイ時間を割けないから少し課金してカバーしたい人もいるはず。「時間をかけないと取れない」というプレッシャーよりは課金したい人もいるんじゃないかな。
椎名そうですね。月に1000円~2000円くらいなら月額課金みたいなもの。それでブーストがかかってモチベになるなら全然払いますし。
ユースケほかにも『HIT : The World』の資料から気になるところをチェックしていきましょう。“調律者の祭壇”とか?
椎名サーバーのルールを投票で決めるシステムでしたっけ。ボスにラストアタックした人がアイテムを獲得するか、あるいは貢献度で一番の人が獲得するか、みたいな。両方にくれればいいじゃんって思いますけど。
ユースケ2択から選ぶのかな。ほかに説明されていたのは……
- ボスのドロップをおいしくするか、通常エネミーのドロップをおいしくするか
- その場でリスポーン(復活)可能か、離れたところで復活するけどリスポーンにかかるクールタイムがなくなるか
ユースケこんな感じ。投票に使う券は売りに出せるというのが気になってます。金持ちが有利になるのでは。
椎名個人的に、あえてギルドの仲間とは入れないコンテンツもほしいんですよ。MMORPGって時間が経つとどんどん内々に、ギルド内だけで遊ぶようになりますよね。それはちょっともったいない。(ギルドメンバーとは)別の人と遊べて、しかもうまみもあれば、外との付き合いが広がるんじゃないかな。
ユースケPvPのバランスはどうなるんだろ。ターゲットが集中するとダメージが増加したり、同じデバフを重ねると効果時間がだんだん短くなると。
反王廃課金のプレイヤーも多くが「倒されないのもつまらない」と言うんですよ。でも、スタン系のデバフを食らいまくって何もできないままやられるのもキツい。こういう調整はありだと思います。
ユースケひとり対何人くらいがちょうどいいのか。たとえば1対10でバランスよくなるのか、あるいは1対3くらいで油断ならなくなるのか。
椎名それは難しいところだなー……。そもそもどこまでが微課金かみたいな線引きも人それぞれだしなあ。
反王そこはもう、頼むぞネクソンとしか言えませんね。
ユースケ言いたいこと言って、あとは「頼むぞネクソン」。この仕事、楽しいな。
椎名公式クリエイター&サポーターシステムっていうのもあるんだよね。反王さんはやるの?
反王僕は禁止です。一応エバンジェリストという立場なので。このシステムでおもしろいのは、MMORPGをやったことがない人でも参加できるということ。自分が応援する配信者さんが公式クリエイターになったらそれを応援すればいいんです。いままでと違うところからMMORPGの入口が開けるのではないかと。
ユースケMMORPGをやる配信者さんってそんなに多くないんですよね。見る側にも知識がいるからなのかな。
椎名アクションゲームみたいにわかりやすくないからなあ。
反王あとは収益化してオフ会を開催できる部分はより強調してほしいですね。オフ会の写真を送ったら記念品がもらえるとか。Tシャツにタンブラーに。
椎名オフラインイベントもオフ会もいいよね。ドキドキするけど、いざ行ってみると本当に楽しい。
反王そこからゲームが、まさに生活の一部になるような。何なんでしょうね、あの感覚。
椎名首に下げたネームプレートにキャラ名が書いてあると「お前が!?」ってなりますよね。よく聞く話だけど、あの感覚は本当におもしろい。いい出会いもあるはずだから、活性化してほしいところです。
ユースケ僕、昔は年間100本くらいオフラインイベントに行ってたんですよ。たまにイベント後のオフ会に混ぜてもらったりして。みんなが仲よくやってるのを見るのがうれしいんですよね。“プレイヤー同士の仲がいいこと”は、ゲームにとって大切。
反王本当にそう。MMORPGはとにかくコミュニティーが命ですから。運営も開発も、そこのフォローをがんばってほしい。登録者数とか配信の視聴数が大事なのは百も承知。でもね、数字から見えないところにも大事なことはあるんですよ。
椎名ゲームでもゲームの外でも、仲間になってくれたら心強いですからね。
おまけ
椎名さんはミュージシャンとしてふだんから多数の機材をチェックしている。撮影のカットを切り替えるたびに、
「そっちケーブル大丈夫ですか?」
「モニターを少し動かしましょう。カメラさん、画角は大丈夫ですか?」
と自分から動き回っていた、ケーブルを気にするゲストなんて初めて見た。
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