取材に応じる日本鉄鋼連盟の今井正会長(25日、東京都中央区)

日本鉄鋼連盟の今井正会長(日本製鉄社長)は26日の記者会見で、中国の鋼材過剰生産により鋼材輸入が増えていることに触れ、「国内マーケットを無防備にさらすことは、わが国経済のためにならない」と述べた。諸外国でも通商対策を講じてると触れて「新たな視点での通商政策を検討すべきだ」と提言した。

今井氏は「中国の鋼材輸出は過去最大規模になり、各国地域が対策している」とし、既存の通商措置としてアンチダンピング(反不当廉売)やセーフガードを実効性のある形で検討していく必要があるとした。

新たな対策について「日本としてもしくは鉄鋼業界としての通商対策について経済産業省と対話を続けている」と話した。例として米国の通商拡大法232条に基づく追加関税や、欧州の国境炭素調整措置(CBAM)などを挙げた。

今井氏は通商対策を進める背景として、中国の鋼材過剰生産を挙げた。「中国の鉄鋼生産の半分以上は国営の会社で政治の思惑が強く影響している。損益では赤字ながらも生産量を落とさず海外に鋼材を輸出している」と指摘した。

米国の第2次トランプ政権が検討する関税措置については「自動車産業などに大きく影響が出かねない」と懸念を示した。日本の粗鋼生産量は年8000万トン超だが、うち1500万トンほどが自動車向け。この一定量が米国に輸出されており、鉄鋼業への影響も「注意深くみていく必要がある」と述べた。

【関連記事】

  • ・中国過剰生産の「とばっちり」 鉄鋼、対日AD調査が増加
  • ・中国、11月卸売物価2.5%低下 過剰生産でデフレ圧力

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。