日本銀行の植田和男総裁は7日夕、首相官邸で岸田文雄首相と会談した。植田氏は会談後、報道陣に、為替について議論したと明かした上で、「最近の円安については日銀の政策運営上、十分注視していくことを確認させていただいた」と述べた。
日銀が4月下旬に開いた金融政策決定会合後、植田氏の記者会見での発言が市場に「円安容認」と受け取られ、急速に円安が進んだ。植田氏はこのときの考えに変更はないとした上で、「(一時的な要因を除いた)基調的な物価上昇率にどういう影響が出てくるかについて、注意深くみていく」と語った。
植田氏によると、首相との会談は定期的なもので、経済や金融情勢について意見を交わしたという。植田氏は、物価上昇率2%目標の達成という観点から政策運営をするとし、「政府と日本銀行で密接に連携を図り、政策運営に努めていく点を確認した」とも語った。
日銀は4月下旬の会合で、金融政策の維持を決め、追加利上げを見送った。その後の植田氏の会見で、円安対応が打ち出されなかったと市場に受け止められ、円安が進行。4月29日に一時1ドル=160円台まで円安が進み、その後、一転して急激に円高に振れた。政府・日銀が円買いドル売りの為替介入をしたとの見方が強まっている。(神山純一)
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