JFEスチールは20日、西日本製鉄所倉敷地区(岡山県倉敷市)で検討中の大型電炉の導入計画が政府の支援事業に採択されたと発表した。総投資額は3294億円を見込み、うち1045億円を補助金でまかなう予定。二酸化炭素(CO2)の排出量が多い高炉から、電気を使って鉄を溶かす電炉に生産プロセスを転換し脱炭素を進める。
政府のグリーントランスフォーメーション(GX)経済移行債を財源とした支援事業に応募して採択された。2024年度内にJFEとして機関決定した後、着工する予定。28年4〜6月期の生産開始を見込む。電炉の生産能力は年間約200万トン。CO2の削減効果は年間約260万トンを見込む。
設備投資は電気炉に加えて精練設備とスクラップ物流設備、スクラップを受け入れる岸壁整備、関連する既存設備の撤去費用などを対象とする。電炉に転換するのは倉敷地区の第2高炉で、27年に設備更新を迎える予定だった。
鉄鋼業界は国内産業部門のうち4割のCO2を排出する。鉄スクラップなどを電気で溶かす電炉は高炉と比べるとCO2の排出量を4分の1に抑えられるとされる。一方で、電炉では高級鋼の製造が難しいとされてきた。JFEの独自技術を使い、電磁鋼板やハイテン(高張力鋼板)といった自動車向けなどの高級鋼を生産していく方針。
支援事業を巡っては、日本製鉄も北九州市の製鉄所で高炉から大型電炉に転換することなどを目指して政府に申請している。
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