エチレン生産設備の稼働率は低迷が続く(国内のエチレン生産設備)

石油化学工業協会(東京・中央)は19日、化学製品の基礎原料であるエチレンの生産設備の11月の稼働率が78.0%(速報ベース)だったと発表した。好不況の目安とされる90%を28カ月連続で下回り、データがある1991年以降で最長期間を更新した。中国勢の増産で需給バランスの改善が進まない。

エチレンは自動車や家電など耐久消費財や日用品などに使う合成樹脂の原料となる。11月の生産量は前年同月比8.0%減の43万800トンだった。定期修理中の設備があったため生産が減った。

主要4樹脂(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン)の出荷量は全て前年同期を下回った。特に、ゴミ袋などに使われる高密度ポリエチレンと自動車部品などに使われるポリプロピレンの輸出が20%以上減った。

中国の設備増強の影響と内需低迷で低稼働が続いている。国内の供給量を減らす必要があり、化学各社はエチレン生産設備の集約に向け動き出している。

化学各社の間ではエチレン生産設備の集約に向けた動きが進んでいる。三井化学と出光興産は千葉県で2027年度に出光側を停止し、三井化学の設備に集約する方針で25年度下期に最終決定する。西日本では旭化成、三井化学、三菱ケミカルグループの3社が生産体制の最適化も含めた検討を進めている。

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