静岡空港(静岡県牧之原市)に香港国際空港とを結ぶ初の定期便が就航し、17日午後に第1便が到着した。格安航空会社(LCC)の香港エクスプレス航空が週3往復を運航し、旺盛な訪日需要に加え日本からのビジネス利用も見込む。鈴木康友知事は「毎日運航に増えるよう魅力を伝える」と期待を込めた。
静岡が舞台の人気漫画「ちびまる子ちゃん」のキャラクターが香港から第1便の乗客を出迎えた。その後に空港内で開いた記念式典では空港運営会社の西村等社長や利用促進協議会の岸田裕之会長(静岡ガス会長)らが就航を祝った。
式典で香港エクスプレスのジャネット・マオ最高経営責任者(CEO)は「当社のみが香港線を運航するのは高松と広島で静岡が加わった」と話した。日本への就航は静岡が10空港目。静岡空港が国際線定期便でつながるのは香港が海外4都市となる。火・木・土曜に往復し約5時間で結ぶ。
第1便の搭乗率は9割を超え188席がほぼ満席。「クリスマスや年始などで需要が高まる前に就航できた」とマオ氏は強調した。日本との同社路線の搭乗率はいずれも9割前後で静岡―香港線も同水準を見込む。
静岡発着の国際便ではソウル線の搭乗率が8割。中国の上海線や杭州線は5割前後で、香港線就航のインパクトは大きい。鈴木知事も「デイリーにしてほしい」と早期の増便実現を訴えた。日本政府観光局(JNTO)によると1〜10月の国・地域別の訪日客で香港は5位の217万人で前年同期より約3割伸びている。
新型コロナウイルス前に静岡を訪れたインバウンド(訪日外国人)のうち東アジアの割合は都道府県平均よりも高かった。空港利用者の本格回復には台湾などかつての就航路線の復便に加え海外へ向かう日本客の増加もカギだ。県担当者によると静岡から中国方面に搭乗する日本人の割合は1〜2割ほどと低い。
ビジネス目的などで日本人の利用が増えると平日や往路と復路の搭乗率が安定し増便などを見込める。県経済団体代表も務める岸田会長は「多くの日本企業が進出する香港へビジネス送客を急ぐ」とマオ氏に伝えた。
県が13日公表した静岡空港の23年度の県内経済波及効果は19年度比3割減の271億円。搭乗者数は51万人でコロナ禍前を約20万人下回る。足元で回復基調にはあるが国際線が鈍い。好調なソウル線も同国内の政情不安の影響が懸念される。
就航先が広がればリスク分散にもつながる。鈴木知事は「アジアを中心にタイやベトナムなどの路線を開拓していく」と強調し、東南アジアなど新市場も照準に現地航空会社の視察受け入れやチャーター便誘致などに力を入れる考えだ。
(佐伯太朗)
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