オンライン記者会見で説明する住友化学の岩田圭一社長㊨と住友ファーマの木村徹社長

住友化学は17日、子会社の住友ファーマと再生・細胞医薬品分野で新会社を設立したと発表した。研究や事業開発を担い、2025年2月から事業を開始する。iPS細胞由来の再生医療製品をはじめ、複数の再生・細胞医薬品の実用化を想定しており、30年代半ばに1000億円、40年までに最大3500億円規模の売り上げを目指す。

新会社の名称は「ラクセラ」。現在、住友ファーマが開発中の製品を含め再生・細胞医薬分野の研究開発などを担う計画だ。住友化学が66.6%、住友ファーマが33.4%を出資する。再生・細胞医薬品の開発製造受託(CDMO)は、すでに両社の共同出資会社「エスラクモ」がある。ラクセラで開発した製品の製造面などで連携する。住友化学の品質管理や分析技術も活用し、グループ全体で取り組む。

住友ファーマはすでに米国で一部の細胞医薬品を販売している。ただ売り上げ規模は小さく、今後の収益をけん引すると期待するパーキンソン病治療に向けたiPS細胞由来の再生医療製品の開発を進めている。

パーキンソン病治療の再生医療製品は日本で24年度中に仮承認にあたる条件及び期限付き承認の申請を予定していたが、当初想定より遅れることを発表していた。同日の記者会見で住友ファーマの木村徹社長は「25年度中を目指している」と話した。

再生・細胞医薬品の分野は将来の成長が見込めるものの、住友ファーマの足元の業績は厳しい。当面は研究開発などの投資もかさむため、新会社も含め住友化学主導で進め、グループとして事業の成長を目指す方針を示していた。

ここ数年は年間100億円弱の研究開発投資も見込まれるなか、今後の成長にむけては「周辺の技術や材料なども含めグループ内外との連携を進めていきたい」(住友化学の岩田圭一社長)と説明する。

住友化学は再生・細胞医薬のほか低分子医薬やバイオ医薬品の一種である核酸医薬のCDMOなどにも注力し、35年に3000億円の売り上げ収益を目指している。注力領域のなかでも放射性医薬品を手がける連結子会社の保有株売却を12月に決めたが、売り上げ目標は引き下げないという。

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