経済産業省が17日、次期エネルギー基本計画の原案を示した。原子力発電所を「最大限活用」する方向に軸足を置き、関西電力は原発のリプレース(建て替え)や新増設を進めやすくなる。
関電は同日、原案を受けて「明確な方向性が示された。我が国のエネルギー政策の強い決意が示されており、大変意義あるものと受け止めている」というコメントを公表した。
同社は今回、原発への言及に注目した。原案は「可能な限り原発依存度を低減する」というこれまでの文言を削り、原発の建て替え要件の緩和も盛り込んだ。このため「建て替えに向けた調査を表明しやすい下地は整ってきた」(関電幹部)という。
関電の森望社長はこれまで原発建て替えについて「脱炭素やエネルギーセキュリティー上、いずれ必要になってくる。選択肢の一つだ」と繰り返していた。同社は2011年の東日本大震災以降、電力大手のなかでは九州電力に次いで原発の運転を再開。23年9月には運転可能な原発7基がすべて再稼働した。
データセンターや生成AI(人工知能)を巡り電力需要が高まるなかで産業界からは「原発を主力電源に位置づけるべきだ」(関西経済連合会)との声が強まっていた。
リプレースの有力候補は15年に運転を終えた美浜原発(福井県美浜町)1、2号機の後継機だ。関電は今後、原発立地自治体の福井県や県内各町との同意取り付けを加速させるとみられる。だが、使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の完成が遅れ、使用済み燃料の県外搬出は計画通りでなく、波乱要因になっている。
原案は次世代エネルギーとして合成メタン(eメタン)を水素やアンモニアと並ぶ項目としてあげ「2040年代の大量生産技術の実現を目指す」などと記した。
eメタンの開発を進める大阪ガスは17日、「次世代エネルギーの中でeメタンが初めて項目化されたことはありがたい。需給両面で事業者の予見性が高まる政策の実現などに期待したい」とコメントした。
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