シンクタンクのパーソル総合研究所が、客との接触がある職種の約2万人を対象に実施した調査で、35.5%が過去にカスハラを受けた経験があった。このうち32.6%が、ここ3年でカスハラ被害が「増加した」と回答した。

過去3年のカスハラ経験率が最も高い職種は「医療・福祉」(29.9%)で、「公務員」(29.4%)、「運輸・郵便」(26.5%)などが続いている。男女ともに若年層の被害経験率が高く、雇用形態別では自営業が高率だった。

カスハラの内容についての自由記述では、「介護で訪問していた際に、何度も邪魔をされ、注意すると言葉で激しくののしられ、ありもしない暴行罪で訴えられた」「利用者に案内中、説明に納得がいかないと一方的に高圧的態度で責め続けられた」「電話で男性からいかがわしい質問をされた」などと、深刻な被害の訴えがあった。

口コミサイトや交流サイト(SNS)で嫌がらせの投稿をされた経験(過去3年)がある人は34.2%で、5回以上経験した人は13.5%だった。

カスハラを受けた被害者が、被害を社内で報告・相談したときに起こる「セカンドハラスメント」を経験した割合は25.5%。経験者にその際の会社や上司の対応について複数回答で尋ねたところ、「ひたすら我慢することを強要された」(11%)が最多で、「軽んじられ、相手にしてもらえなかった」(8.9%)、「一方的に自分自身に責任を転嫁された」(8.2%)などが上位に入った。退職を促されたケースも0.7%あった。

同研究所の小林祐児・上席主任研究員は、「会社の対応は後手に回っている。カスハラ発生を完全に防ぐのは難しい。未全に防ぎきるよりも、『カスハラに強い』組織をつくるという発想が重要だ」と指摘している。

調査は2024年2~3月、全国の20~69歳の男女約2万人を対象に、インターネットを通じて実施された。

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