東京電力ホールディングス(HD)は28日、2025年6月に柏崎刈羽原子力発電所6号機(新潟県)の原子炉に核燃料を入れると発表した。新潟県が再稼働に同意しておらず、稼働時期は未定とした。7号機と共に早期の再稼働を目指す姿勢を打ち出した格好だが、県民の理解は深まっておらず、再稼働を実現する道筋は見えていない。
同日、会見した同原発の稲垣武之発電所長は「6号機も再稼働できれば、電力供給に大きく貢献できる」と述べた。同日午後に原子力規制委員会へ工程の変更を伝える「使用前確認変更申請」を行った。そのうえで、稲垣所長は「再稼働は地域の理解あってこそ」と述べ、地元への説明に注力すると説明した。
これまで東電は規制委に対して、核燃料の搬入を24年12月、原子炉の起動を25年2月と仮置きして伝えていた。核燃料の搬入時期は事業者の裁量で決められるが、実施には国の審査と安全対策工事を終え、規制委の確認も得ないといけない。
6号機は17年に再稼働の前提となる安全審査に合格し、24年9月には再稼働への工事の詳細計画も認可された。今は保安規定の審査が続いており、合格すると国の新規制基準での審査が完了する。安全対策工事の進捗は約7割となっている。
新潟県の花角英世知事は28日の定例記者会見で「しっかり安全を確認しながらやってもらいたい」と述べるにとどめた。原発の再稼働には立地自治体の同意が事実上必須となっているが、新潟県は態度を明示していない。
県は1月の能登半島地震で原発事故時の避難に課題が生じたとして、国へ対応を求めている。28日には避難道路の整備について両者が協議する枠組みの初会合が開かれた。資源エネルギー庁の村瀬佳史長官は同日、県庁を訪れ「再稼働に向けた地元理解が進むよう、関係省庁一体となり丁寧に対応を進めていきたい」と述べた。
新潟では大雪や地震と原子力事故が同時に発生した際の避難について不安視する県民も多い。花角知事は「国は避難路の整備についてできるだけ早くまとめて県民に示してほしい」と迫る。国は12月上旬から、県内のほぼ全ての自治体で再稼働に関する説明会の開催も予定する。県内で根強く残る原発の安全に対する懸念を払拭できるかが、再稼働に向けた最大の焦点となっている。
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