【ニューヨーク=清水石珠実】米衛星放送会社のディレクTVと米同業ディッシュ・ネットワークの合併が破談になることが22日までに明らかになった。21日、ディレクTV側が合意を破棄する意向をディッシュ側に伝達したと発表した。合併を実行する前提条件となっていたディッシュ債権者の合意を得られなかった。
ディレクTVは9月、ディッシュの親会社エコースターとの間でディッシュ全株式を1ドルで買収する代わりに、97億ドル超(約1兆5000億円)の債務を引き継ぐことで合意した。合意には、ディッシュ債権者が負債を2割免除する条件が含まれていた。結果として、債権者の反発は強く合意を得られなかった。
ディレクTVによると、合併の実施条件が満たされなかったため米東部時間22日深夜に合意は破棄されるという。
動画配信サービスの普及で、米消費者の間で衛星放送などの有料テレビを解約する「コードカッティング」の動きが強まっている。ディレクTVとディッシュによると、2社を合わせた衛星放送の顧客数は16年と比較して63%減った。合併で規模の拡大を狙ったが、戦略の練り直しを迫られる。
ディレクTVは現在、米通信大手のAT&Tと米投資ファンドのTPGが共同保有している。TPG側の株式保有率は30%だ。9月、ディレクTVはディッシュとの合併合意と並行してTPG側が残りの70%の株式をAT&Tから買い取る計画があることを明らかにした。この合意は計画通り実施予定で2025年後半の手続き完了を見込んでいる。
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