島根大学は産婦人科や泌尿器科での検査や治療の際、患者に着用してもらう専用パンツを開発した。スカート状でめくる構造になっており、患者にとって心理的負担が大きい陰部の露出を最小限にできる。使い捨てで医療従事者が処置しやすいよう工夫した。島根大病院で導入し、他の病院にも順次売り込む。

島根大が基本デザインを考案した
スカート状でめくる構造になっている

アパレル製造の松井島根ファクトリー(島根県出雲市)と協力し、約2年かけて開発した。同社が製造・販売を手がける。販売価格は1枚500円。島根大と出雲市が進めてきた「やさしい医工連携」の一環となる。

産婦人科や泌尿器科では検査や治療の際、患者はあおむけで足を台に上げた「砕石位(さいせきい)」という姿勢をとる。その際、陰部が露出した状態が続く。専用の検査着はなく、島根大病院では大腸検査用のもので代用していた。

代用品は尻部分の穴を切り開き、陰部を処置しやすいよう前後を逆にはいてもらっていた。陰部露出は患者の心理的負担が大きいとの指摘が看護師から出ており、今回の開発のきっかけとなった。

スカート状でめくる構造といった基本デザインは島根大が案を出し、松井島根ファクトリーと改良を重ねた。透けないよう色は紺色とし、マスクに使われる不織布を採用した。同社の今岡淳社長は「コスト抑制と肌触りの良さを両立させた」と話す。

島根大病院で実験的に使ったところ、患者の6割が従来の検査着より「良くなった」と回答した。6割超が、羞恥心を全くあるいはあまり「感じなかった」と答えた。医療従事者からも処置が「しやすくなった」との回答が8割だった。

専用パンツはまず島根大病院の産婦人科、泌尿器科で導入する。「他の病院にも今後展開していきたい」(中村守彦・地域医学共同研究部門長)としている。

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