料理動画アプリなどを手掛けるdely(デリー、東京・港)は21日、東京証券取引所への新規上場が承認されたと発表した。上場予定日は12月19日で、グロース市場に上場する。時価総額は約480億円となる見込み。2018年にヤフー(現LINEヤフー)に買収された後、食品メーカー向けなどの販促支援事業を拡大し、上場にこぎ着けた。
上場時には新株は発行せず、既存株主からの売り出しのみ実施する。親会社のLINEヤフーがベンチャーキャピタル(VC)など他の既存株主から株式を買い取る「親引け」を実施する。LINEヤフーの持ち株比率は50%から上場後に56%に上昇する見通し。運用会社のアセットマネジメントOneも上場に合わせて株式を取得する。
デリーの25年3月期の単独売上高は前期比27%増の125億円、税引き利益は9%増の16億円を見込む。約4000万人の月間利用者を抱える料理動画サービス「クラシル」で築いた顧客基盤を生かし、食品・飲料メーカーや小売企業の販促を支援する「クラシルリワード」が好調だ。同サービスを含む販促領域の今期売上高は4.6倍の28億円を計画する。
デリーは14年に慶応大学の学生だった堀江裕介社長が創業し、16年にレシピ動画サービス「クラシル」を始めた。18年にヤフーの子会社となった後は事業を多角化し、販促支援のほか、小売店舗の正社員採用を支援する人材サービスに参入した。
大手企業によるM&A(合併・買収)をいったん受け入れたうえで、新規株式公開(IPO)を目指す手法は「スイングバイIPO」と呼ばれる。24年3月にはKDDI傘下で、あらゆるモノがネットにつながるIoT通信を手掛けるソラコムがこれを活用して約600億円の時価総額でグロース市場に上場した。
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