日本財団とNPO法人の長崎海洋産業クラスター形成推進協議会は7日、長崎市内で「日本財団洋上風力人材育成センター」の開所式を行った。高所作業や落水時の安全行動などの訓練を実施する国内最大規模の施設として、洋上風力技能者を年間で約1000人育成する計画だ。同センターの松尾博志施設長は「スキルの習得だけでなく、業界全体の安全文化を育む核となる施設を目指す」とあいさつした。
同センターは本土と876メートルの橋でつながった長崎港沖合の伊王島に立地し、敷地面積は約3000平方メートル。今回完成したのは鉄骨2階建ての「安全訓練棟」で、機械類を納める角柱型の「ナセル」や天井クレーン、プール、梯子などを備える。デモンストレーションでは、プールを使っての救命いかだの操作や、ナセルでの負傷者救護といった安全訓練をスタッフが実演した。
同センターでは、洋上風力の作業に関する訓練で事実上の世界標準であるNPOの「GWO」認証に沿ったカリキュラムを提供。5日間の「基本安全訓練5モジュール」が33万円(税込み)や3日間の「アドバンスト・レスキュー・トレーニング(上級救助訓練)」が24万2000円(同)などのプログラムがある。防火や消火、負傷の応急処置、高所作業、海上に投げ出された際のサバイバルなど広範囲に安全を学ぶ。
2025年度には敷地内に機械や電気、油圧作業などの訓練を施す「技能訓練棟」の完成を予定している。さらに、26年度には近隣の沖合に洋上での訓練施設「洋上タワー」を整備する計画だ。ここでは実海域におけるアクセス船から洋上タワーへの移乗や物資搬入などの訓練が可能になる。
日本財団によると、受け入れ可能な受講者数や施設床面積で国内最大規模の教育訓練施設になるという。長崎県内では、五島市で浮体式の大型洋上浮力発電施設の整備が進むほか、西海市で着床式の洋上風力発電事業が計画されている。海洋エネルギー関連産業を新たな基幹産業に位置付けている長崎県の馬場裕子副知事は「県内への参入促進につながる」と期待を示した。県は企業に対し受講料の支援を行う。
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