ヤンマーHDが2035年を見据えてデザインしたコンセプト農機のイメージ。キャビンの中に大型のモニターを設置している

ヤンマーホールディングス(HD)は7日、2035年ごろまでの長期ビジョンとして農業機械や建設機械などのデザインを共通化する構想を発表した。運転席にあたるキャビンを統一することなどを検討しており、開発期間の短縮や部品コストの低減につなげる。完全自動運転の農機や建機の開発を効率化するねらいもある。

「ヤンマー・プロダクト・ビジョン」として、35年の近未来を想定した農機や建機、ボートのデザインイメージを公開した。農機は広いキャビンの中に大型のモニターを配置。この農機に協調して作業する他の自動運転農機の司令塔のような役割を担うとしている。農機の模型は8日からJR東京駅の八重洲口から徒歩1分のビル「YANMAR TOKYO(ヤンマー東京)」に展示する。

ヤンマーはトラクターなどの農機やショベルカーなどの建機だけではなく、ボートやエンジン、発電機などを開発している。同日ヤンマー東京で開いた記者会見に登壇した長屋明浩・取締役ブランド部長は「将来的にはすべての事業領域においてデザイン開発の効率化を図る。共通のデザイン思想でプラットフォーム化していきたい」と話した。

デザインの共通化によって、エンジン部分をバッテリーとモーターに切り替えるなど、動力源の置き換えも容易になると見込む。デザイン部の土屋陽太郎氏は「カスタマイズの自由度が上がる」と強調した。

長屋取締役はトヨタ自動車で初代レクサス「LS」などのデザインを手がけ、ヤマハ発動機を経て22年にヤンマーHDに入社した。デザインなどを担うブランド部を設置し、ヤンマーのブランド戦略を担ってきた。アニメの製作や同社のマスコットキャラクター「ヤン坊マー坊」のデザインの刷新も主導してきた。

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