日本三大瓦の一つ、島根県の石州瓦を生産する2社が瓦事業を統合することで最終合意した。12月28日に新会社を設立する。両社合計のシェアは9割を超える。生産拠点を集約して効率化を進めるほか、情報発信体制を強化し販売拡大をめざす。瓦産地としての存続と、関連産業を含めた雇用維持をめざす。
事業統合するのは最大手の丸惣(江津市)とシバオ(大田市)の2社。シバオが新設する100%子会社「瓦百景」(大田市)に、両社の瓦関連の事業を集約する。両社の従業員の8割強にあたる90人程度が新会社に移る見通しだ。
新会社の社長にはシバオの芝尾宜秀社長が付く。丸惣は取締役1人を出すが、残り3人はシバオ側が占める。丸惣の佐々木賢一社長は経営に参加せず引退する。規模の小さいシバオ側が主導する形になった理由について、芝尾社長は「双方での調整の結果」と述べるにとどめた。
両社は事業統合後も存続する。シバオ本社に新会社の管理部門を置くなど「新会社の持ち株会社的な位置づけ」とする。丸惣にはメガソーラー事業などを残すほか、不動産など遊休資産の売却を進める。
新会社は拠点を大田市に集約することで物流コストなどを抑制する。火災で焼失したシバオの本社工場跡地を活用し、2025年夏にも製造を再開したい考えだ。
石州瓦は赤い色が特徴だ。県西部で採れる粘土を1200度超の高温で焼くことで、高い耐久性を備える。芝尾社長は「石州瓦の魅力発信を強化し、顧客目線で販売の拡大に取り組みたい」と述べた。
ただ産地の状況は厳しい。持ち家の新設住宅着工件数は2023年度で11%減と縮小傾向が続く。そもそも瓦を使わない家も増えている。
他の瓦産地との競争もある。三大瓦でみるとシェア2位とはいえ、首位の三州瓦(愛知県)とは出荷額で約10倍の差がある。
島根県の丸山達也知事は同日、「石州瓦産業全体の維持発展のため、引き続き必要な対応を検討していく」とのコメントを発表した。
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