決算発表する関西電力の森望社長(右)=30日、大阪市北区

関西電力は30日、2025年3月期の連結純利益が前期比41%減の2600億円になる見通しだと発表した。前の期にあった一過性の利益がはげ落ちることで、過去最高益から一転、減益となる。ただ、保有する全7基(廃炉予定は除く)の原子力発電所が安定稼働に入るほか、電力販売量も増えており「実力値」は上向きつつある。

25年3月期は燃料費の変動を遅れて電気料金に反映する燃料費調整制度の「期ずれ」に伴う差益が約1700億円分なくなる。それが主因となり主力のエネルギー事業全体で2530億円の減益となる。

一方で、24年は原発7基すべてが本格稼働し原子力利用率は80%と23年3月期から約32ポイント高まる見通し。原発利用が拡大すれば燃料費の変動に左右されにくくなり、収益体質は安定する。

販売電力量も増えている。25年3月期の総販売電力量は1511億キロワット時と12%増え、特に他社への電力販売量が2倍になる見通し。これは他社に比べ卸価格が安いためで、原発稼働率向上の恩恵を受けている。

25年3月期は2期連続で売上高は過去最高になる見通しで、燃料費の変動を受けながらも関電の経営は安定し始めている。今後の焦点は電気料金の行方だが、同社の森望社長は決算発表の席上、「原発7基体制で運転ができているのは大きな経営の安定につながる。一方で外部環境は大きく変化しており、そこをつぶさに分析しないといけない。足元の状況もみながら総合的に判断したい」と述べるにとどめた。

同日、26年3月期までの5カ年の中期経営計画の見直しも発表した。21年3月の策定時には経常利益2500億円以上を掲げていたが、3600億円以上に引き上げた。投下資本利益率(ROIC)の指標も導入し、4.3%以上と定めた。調達した資本を事業に投下し、各事業部門でどれだけ効率よく利益を稼ぎ出せるかを重視する。資本効率を高めながら電力の安定供給を目指す経営に転換する。

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