記者会見するANAホールディングスの芝田社長(31日、東京都港区)

ANAホールディングスの芝田浩二社長は31日、経営の混乱が続く米ボーイングから2025年度に導入する予定の新型機の受領が「数カ月程度遅れる」との見通しを示した。一連の問題が長引けば成長戦略の足かせとなりかねない。

2024年4〜9月期決算の記者会見で明らかにした。ANAHDが25年度にボーイングから導入するのは小型機「737MAX」と中型機「787」、大型機「777X」の計11機。芝田社長は「25年度中のできるだけ早い時期にとの思いでいるが、足元の状況を見ると一定程度遅れる」と述べ「1年でなくても数カ月程度の遅れを見込んで事業計画を立てようと思う」と語った。

ボーイングは1月に737MAXの機体事故をうけた品質問題が発生した。9月からは米ワシントン州の工場でストライキも続く。737MAXと777Xの受領遅れはストライキによるもので、ノースカロライナ州の別工場で生産する787の遅延はサプライチェーン(供給網)の混乱が原因とする。

芝田社長は「私もボーイングのセールス担当のトップや社長とはこれまで3回やりとりした。来週以降も電話やウェブで会議をする。足元の状況の確認は怠らないようにしている」と語った。

また、ANAHDは傘下の全日本空輸(ANA)が新たにベトナムで客室乗務員(CA)の拠点を設けて現地採用に乗り出すことも明らかにした。同社の海外のCA拠点は英国、中国、台湾、韓国、タイに続く6カ所目となる。

25年前半にはベトナム人CAによる機内サービスを始める。芝田社長は「ベトナムから成田空港や羽田空港で乗り継いで北米に向かう顧客にしっかりとベトナム語でサービスできるのはメリットだ」と期待感を示した。

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