福祉施設の建設費が上昇している。独立行政法人の福祉医療機構によると、個室と共有スペースを組み合わせた「ユニット型」の特別養護老人ホームの建設単価が2023年度に過去最高となった。資材高などを反映し、定員1人あたりの床面積は2年連続で減った。投資回収を見通しにくくなっており、建て替え・新設に影響する恐れがある。
同機構は厚生労働省系の独立行政法人で、福祉や医療など関連施設の建設資金を融資している。貸付先のデータをもとに全国の建設費を調査したところ、23年度のユニット型特養の1平方メートルあたりの建設単価は前年度を5%上回る34万2000円だった。10年前と比べると47%上昇している。
コスト高を受け、建物の面積を狭くすることで経費を抑えようとする動きが見られる。23年度の施設定員1人あたりの延べ床面積は46.8平方メートルと前年度から6%減少した。地域別では首都圏が8%減の44.5平方メートルだった。
保育所・認定こども園の建設単価も上がっている。23年度の1平方メートルあたりの費用は前年度から6%上がって42万8000円となり、過去最高を更新した。この10年間で1.6倍となった。
病院の建設単価も上がり、前年度比で0.5%上昇の41万1000円だった。過去最高は21年度の42万3000円で高止まりしている。
機構の担当者は「今後は施設整備の際に、これまで以上にコストの上振れや工期の長期化を見越して計画を立てる必要がある」と指摘する。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。