ニデックは17日、傘下の工作機械メーカーで共同開発した新製品の発表会を開いた。2021年以降に買収したグループ各社の技術を融合し、新たな顧客を開拓する狙いだ。工作機械業界ではニッチトップ型の中小企業が多いが、電気自動車(EV)シフトなどの環境変化を受けて、業界再編で競争力を高める動きが広がってきた。
「顧客に新たな部品加工技術を提案する」。ニデックマシンツールの二井谷春彦社長は話す。国内トップシェアを持つ歯車工作機械に、23年にニデックの傘下に入ったTAKISAWAの円柱状の金属を削る旋盤を合わせた複合装置を共同開発した。
ニデックマシンツールの旧社名は三菱重工工作機械で、21年にニデックが買収した。22年にグループ入りしたニデックオーケーケー(旧OKK)と、23年に傘下入りしたPAMA(イタリア)、TAKISAWAと合わせて、ニデックグループの工作機械メーカー4社の年間売上高は推計で1200億円規模となる。
ニデックは当初、EV部品の内製化などを目的に工作機械事業に参入したが、短期間で黒字化できたこともあり、「工作機械でもナンバーワンを目指す」(永守重信グローバルグループ代表)という戦略に転じた。積極買収で国内首位のDMG森精機(23年12月期の連結売上高5394億円)やオークマ(24年3月期に同2279億円)などに続く大手の一角になった。
東レ経営研究所の永井知美チーフアナリストは「工作機械業界は各社がニッチな装置ですみ分けてきたが、再編の機運が出てきた」と指摘する。国内には100社以上の工作機械メーカーがあるが、後継者問題や自動車の電動化への対応も後押しする。
DMG森精機は24年1月に約40億円を投じてクラボウ子会社だった倉敷機械(現DMG MORIプレシジョン・ボーリング、新潟県長岡市)を買収した。工作機械メーカーとしては8年ぶりの買収で航空宇宙などの先端分野を開拓する。金属を磨く「研削盤」を手掛ける岡本工作機械製作所は23年以降、新潟県や宮崎県で同業の事業や半導体関連の中小を相次ぎ買収した。24年5月には三井物産から98億円の出資を受け入れ、開発体制や海外販売を強化する。
レコフデータ(東京・千代田)によると、国内の機械メーカーが関わるM&A(合併・買収)の件数は23年に152件と10年で6割増えた。後継者不在企業では他社による事業承継を選ぶ動きも広がる。
(新田栄作、細田琢朗)
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