中国運輸局は16日、広島・岡山両県を走るJR芸備線の一部区間の存廃を議論する「再構築協議会」の第2回会合を岡山市内で開いた。JR西日本は、現在の鉄道からほかの交通体系に転換する場合でも、代替交通や沿線の地域活性化で関与する考えを示した。
再構築協議会は中国運輸局のほかJR西日本、広島・岡山両県、沿線市などで構成する。2023年10月施行の改正地域公共交通活性化再生法にもとづき全国で初めて設置された。
第1回協議会は3月26日に開催され、今回は2回目となる。利用者が減少する芸備線をこれからどうしていくべきかを話し合う。
JR西は「国鉄時代から引き継いで40年弱地域の公共交通を担ってきた」とした上で、再構築協議会で結論が出た際には、「地域の中でできる役割を果たしていきたい」と述べた。
鉄路は残るが運営方式や財源を変える場合や、鉄道から他の交通手段に転換していく場合に「代替交通や地域活性化においても関わっていきたい」という。
JR西の方針について岡山県の上坊勝則副知事は「(JR西の)地域振興の実績は積み上げられている。芸備線についても主体的に関わっていただくことは大事」と述べた。
広島県の玉井優子副知事は「まだ前提はたくさんあり、これをもってやって(関与して)いただけるとは思っていない」と冷静に受け止めた。
今回の協議会で新しく安芸高田市が構成員として参加することが認められたほか、調査事業の予算案が承認された。調査事業は野村総合研究所が業務委託を受けて、10月以降実施する。
利用状況の調査は存廃議論区間である備中神代(岡山県新見市)―備後庄原(広島県庄原市)に加え、広島―備後庄原も含めた全線が対象となる。広域的なデータ取得のため、比較的利用の多い同区間の利用状況も調査する。
調査では沿線の人口推移などを調べるほか、利用者や沿線住民へのアンケートを実施する。バスやタクシーなどとの連携強化や、駅の空きスペースをビジネスで活用することで新たな需要を生み出せるかを検証する。
鉄道を存続させるか、廃止してバスなどに転換するかの結論は26年度までをメドに出す。年内にも第3回幹事会を開催し、年度内には第3回協議会を開く予定だ。
沿線の主要都市である三次市の市役所によると、芸備線の三次以北では9割程度が学生による利用だ。三次以南では4〜5割程度が通学で、3割程度が通勤での利用だ。「無くなってしまうと、特に高校生の通学に大きな影響が及ぶ」とみている。
調査対象に加えられた広島―備後庄原のうち、23年12月時点で広島と三次を結ぶ芸備線は平日の上りは17本、下りは16本走る。三次から備後庄原では一日に上下各7本だ。備後庄原駅を境に利用が格段に少なくなる。
三次市にはマツダのテストコースがあるが、同社では移動のほとんどが車か高速バスだ。三次市に本社を構えるある企業は、「出張時は社用車や高速バスを使うことが多い。ただ、広島駅直結という点では芸備線が便利なときもある」という。
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