イベントに登壇する奥田修社長(左)と患者団体トップら(16日、東京都中央区)

中外製薬は16日、患者のニーズを事業活動に取り入れるため、患者と対話するイベントを開催した。患者から生活などの悩みを聞き取って創薬などに生かす取り組みの一環。患者や社員約300人、奥田修社長が参加して意見を交わした。

製薬企業はもともと患者と直接関わりを持つ機会が少なく、創薬に患者の声が反映されにくかった。近年は患者を中心に医療や企業活動を行うべきだとする「ペイシェント・セントリシティー」の方針を掲げる製薬企業が出てきており、患者の意見を聞く試みが広がっている。

イベントでは中外の社員が登壇し、これまで把握することが難しかった患者の苦痛を創薬研究の初期段階から着目する試みなどを紹介した。患者からは乳がん患者の当事者が闘病体験を共有したほか、悪性リンパ腫の患者団体「グループ・ネクサス・ジャパン」の天野慎介理事長など患者団体のトップが奥田社長と意見を交わした。

中外製薬は2020年から社長と患者団体が直接対話する取り組みを始め、22年に研究活動へ患者の声を取り入れる仕組みを作った。奥田社長は「実際に薬を使うのは患者さんであるにもかかわらず、これまであまり意識されてこなかった。患者さんが本当に困っていることを理解し、原点に戻るための取り組みだ」と話した。

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