高島屋はインバウンドの減速リスクで今期の営業収益を下方修正した(東京都中央区の高島屋日本橋店)

高島屋は15日、2025年2月期の連結売上高にあたる営業収益が6%増の4950億円になる見通しだと発表した。従来予想を164億円下回る。円高基調でインバウンド(訪日外国人)が減速傾向にあるという。合理化を進めるとして利益予想(純利益は2割増の380億円)は維持した。同日、配当引き上げと最大150億円の自社株買いも発表した。

主力の国内百貨店業の営業収益は7%増の3315億円を見込む。免税売上高は67%増の1150億円と100億円下方修正した。訪日外国人の動向について、同日の決算説明会で村田善郎社長は「為替の影響や観光客数を踏まえ、下期は上期の9割ほどでみている」と話した。先月までの一時的な円高や今後の円高リスクも踏まえ訪日外国人が弱含むとみている。

国内消費については「賃上げや物価高を加味してもマイナスにはならないだろう」とした。国内客は富裕層の外商客や中間層による消費が進む。足元でも宝飾品や時計などの高額品、自社売り場を強化している衣料品の売り上げは堅調に推移している。

株主還元は強化する。11月1日から25年2月末までに発行済み株式総数(自己株式を除く)の4.8%にあたる1500万株を取得する。取得した自己株式はすべて消却する予定だ。配当も積み増す。今期は年34円50銭とした。今年9月に実施した株式分割前のベースでは46円(前期は37円)となり、従来計画から実質6円増える。

営業利益は20%増の550億円、純利益は20%増の380億円という従来予想を据え置いた。純利益は3年連続で最高益を更新する。レジ業務などの外部委託費や出張旅費などを追加で削減し、販管費を従来計画から圧縮する。

同日発表した2024年3〜8月期連結決算は、営業収益が前年同期比10%増の2434億円、純利益が28%増の190億円だった。国内百貨店の既存店売上高は14.3%増えた。訪日客や外商客による高額品の購買が好調だった。3〜8月期末の配当は23円(前年同期は17円)とした。

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