JR各社の労働組合で組織するJR連合は4日、京都市で安全シンポジウムを開催した。車輪と車軸からなる「輪軸」の組み立て作業のデータ改ざんなどを受け、荻山市朗会長は「JR産業の安全・コンプライアンスへの信頼を大きく失う事態だ」と危機感を示し、労組側からも原因究明や再発防止策に取り組む必要性を訴えた。
安全シンポジウムはJR西日本の福知山線脱線事故を契機に2006年から開催され、今回で13回目。JR連合傘下の組合などから約250人が参加し、傘下労組の取り組み発表やパネルディスカッションを実施した。
関西大学の安部誠治名誉教授は、データ改ざんについて「鉄道の安全を維持する現行制度は、鉄道会社の公表データが正しいことが大前提だ」として、現場の独断で基準を緩めて運用することの危険性を指摘した。福知山線脱線事故については「他の運輸業界ですでに重視されていたヒューマンファクター(ヒトの特性)を、JR各社ではそれまで考慮できていなかった」と振り返った。
JR各社では今年に入り、安全性を揺るがす不祥事が相次いでいる。輪軸組み立てデータの改ざんはJR各社や私鉄など50事業者で発覚した。JR九州子会社のJR九州高速船(福岡市)で船の浸水の隠蔽が明らかになり、JR東日本でも東北新幹線の連結車両が走行中に分離するトラブルが発生した。
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