小林製薬は26日、「紅麹(こうじ)」原料を含む機能性表示食品による健康被害問題を巡り、問題把握から公表まで2カ月以上かかった一連の対応が適切だったか、社外取締役が主導して検証すると発表した。小林章浩社長を含む3人の社内の取締役は調査の審議や決議に加わらず、検証の客観性を確保する。

意思決定やコーポレートガバナンス(企業統治)に問題がなかったかを検証する。小林製薬は「再発防止策を練り上げるとともに、経営責任や法的責任の有無を明確化し、今後の経営体制についても検討しなければならない」としている。

問題公表までの事実関係の調査のため、外部の弁護士3人からなる事実検証委員会も立ち上げる。貝阿弥誠弁護士が委員長に就く。貝阿弥氏はダイハツ工業の品質不正問題を巡る第三者委員会でも委員長を務めた。平時の品質管理体制や内部統制の仕組みに実効性があったかについても調べる。

検証委員会の調査をもとに取締役会で検証する。問題に利害関係があるとして、紅麹問題の事後的な検証においては社内出身の3人の取締役は審議や決議に加わらない。社外取締役4人で調査・検証を進める体制とする。

小林製薬の社外取締役は一橋大学の伊藤邦雄名誉教授、イー・ウーマンの佐々木かをり社長、日銀出身の有泉池秋氏、コマツの片江善郎顧問が務める。

事実検証委とは別に「法務アドバイザー」も選任し協力を仰ぐ。小林製薬は、企業法務に詳しい倉橋雄作弁護士を選任する予定だとしている。

小林製薬は1月15日に医師から症例報告を受けて問題を把握し、社内で状況把握や原因究明を進めた。問題を初めて取締役会で話し合い、社外に公表したのは3月22日だった。社外取締役に情報共有したのも直前の20日で、企業統治の観点から批判も出ていた。

公表時期の是非などについては厚生労働省が進める原因究明も関わってくるため「調査に全面的に協力し取締役会としての監督義務を尽くす」とした。

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