買い付け価格の引き上げなどについて説明するローランドDGの小川和宏常務執行役員ら(26日、東京都内)

ローランドディージー(DG)は26日、米投資ファンドと進めるMBO(経営陣が参加する買収)について、買い付け価格を1株5035円から5370円に引き上げると発表した。対抗して買収提案を表明しているブラザー工業の5200円を上回った。今後はブラザーの対応や株価の動向が焦点になる。

買い付け価格の引き上げ方針が市場に伝わった26日、ローランドDGの株価は上昇した。終値は前日比3%(160円)高の5490円と新たな買い付け価格を上回った。ブラザー側も価格引き上げに動くとの観測が広がったもようだ。

ローランドDGはMBOに伴って実施するTOB(株式公開買い付け)の期限を26日から5月15日へ再延長した。ブラザーを上回る価格を示し、MBO成功へ株主の応募を促す。

ローランドDGは大株主の米投資ファンド、タイヨウ・パシフィック・パートナーズと組み、MBOで株式を非公開化する方針を2月に発表した。1株5035円でTOBを始めたが、3月にブラザーがローランドDGの経営陣の同意がないまま5200円でTOBを進める方針を表明した。

ブラザーの提案に対し、ローランドDGは慎重な構えを崩さない。最大の懸念はブラザー傘下になった場合のディスシナジー(マイナス効果)だ。主力製品である産業用プリンターの基幹部品の供給元はブラザーと競合関係にある。「傘下に入れば主要サプライヤーとの取引関係が悪化し、品質・競争力が低下する懸念がある」(ローランドDG)という。

ブラザー傘下になった場合、2026年12月期に営業利益ベースで50億円の減益要因が生じるとの試算を示した。過去にブラザーと協業した際、技術戦略や企業文化が大きく異なることがわかったとも主張した。

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