日工会の稲葉会長は「受注が上向く時期は当初より少し遅れている印象だ」と述べた(26日、東京都港区)

日本工作機械工業会(日工会)が26日発表した8月の工作機械受注総額(確報値)は、前年同月比4%減の1107億円だった。マイナスは4カ月ぶり。大型受注の反動減などで米欧向けが伸び悩んだほか、国内向けの低迷が全体を押し下げた。一方、政府の補助金効果が続く中国向けは50%増だった。

8月の海外向けは1%減の785億円だった。欧州向けは40%減の107億円と8カ月連続のマイナスだった。北米向けは7%減の229億円と2カ月ぶりのマイナス。電気自動車(EV)や半導体製造に関連した設備投資の低迷により、両地域で大型受注が乏しかった。

アジア向けは29%増の436億円だった。5カ月連続でプラスだった。受注額の7割弱を占める中国向けの大幅増が寄与したほか、韓国向けやインド向けも増えた。

国内向けは10%減の321億円で、24カ月連続のマイナス。中小企業を中心に設備投資を抑制する動きが続く。業種別では自動車関連や電気・精密関連が落ち込んだ。

日工会は9月上旬、会員企業に10〜12月期の受注見通しを調査した。「増加」と回答した割合から「減少」と回答した割合を差し引いた指数はマイナス2.7ポイントだった。3カ月前に実施した7〜9月期の受注見通し(マイナス6.8ポイント)から改善した。

26日に記者会見した日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は「調整局面から本格的な回復に向かっている見立てに変わりはないが、当初は24年後半から上向くと考えていた時期が少し遅れている印象だ」と述べた。

27日に予定する自民党総裁選の投開票では事実上の次期首相が決まる。稲葉会長は「製造業を支える工作機械産業に対し、欧州では展示会に足を運ぶなど政治家の関心が高い。日本でも同じぐらいの熱量を注いでもらえればと思う」と求めた。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。