慶応大学と企業9社が「慶応AIセンター」を開設した(24日、東京都港区)

慶応大学とKDDIなど大手企業9社は24日、人工知能(AI)の研究開発拠点を開いた。画像や音声といった様々な形式のデータを統合して扱える技術の開発など3分野で協力する。海外の大学とも連携し、学術的なAIの知見をビジネスの現場で活用する。

新設した「慶応AIセンター」には、KDDIや伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、ソフトバンクなど9社が参画する。各社が1人以上を派遣し、ビジネス現場のデータ提供なども担う。慶応大からは文系と理系の17の研究室が参加し、全体で50人ほどの体制になる。センター長には慶応大理工学部で機械学習やロボットを研究する杉浦孔明教授が就任した。

研究テーマとして、言語だけでなくカメラの映像などから取得される周囲の情報も統合的に理解する「マルチモーダルAI」、周辺環境を認識した上でロボットが次の行動を判断する「自律型AI」、工業製品の材料開発などに利用できるAIの3点を掲げた。慶応大が4月に協定を結んだ米カーネギーメロン大学とも連携する。

企業は研究成果をビジネスに応用する。KDDIは三菱商事との共同経営が始まったローソンで、小売りと通信を掛け合わせた「未来のコンビニ」の実現をめざしている。ロボ自身が判断して行動する自律型ロボを開発して店舗への導入を構想する。KDDIは2026年春にも最初の研究成果をまとめる。

具体的には従業員の目が届かない場所でも稼働する接客ロボを想定する。コンビニ店内の映像を分析しながら移動し、来店客の表情や過去の購買データをもとにおすすめの商品を提案する。KDDIの松田浩路取締役は「AIが自律的にサポートすることで労働人口の減少に対応できる」と話す。

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