電事連の林欣吾会長は20日の定例会見で日本原燃への経営支援を強化する方針を説明した(20日午後、東京・千代田)

電気事業連合会は20日、日本原燃が使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の完成時期を延期したことを受け、同社への経営支援を強化すると発表した。同社の経営会議に電事連の副会長が出席して、進捗の把握や助言を行う。経営層との意思疎通を円滑にして、早期の完成を後押しする。

電事連の林欣吾会長(中部電力社長)が同日の定例記者会見で明らかにした。日本原燃は8月、完成の目標時期を9月末から2026年度に延ばした。延期は27回目。林会長は「電事連としても重く受け止める」と陳謝した。

22年から電事連は加盟する大手電力を通じ、日本原燃へ審査対応などを支援する人員を約100人派遣している。経営面でも電事連会長が同社会長を兼務してきたが、経営会議には参加せず、書面報告などにとどまっていた。林会長は「実務・経営の両輪の支援で事業を前進させたい」と説明した。

同日の記者会見では今夏の電力需給にも言及した。9月に入り、想定を上回る残暑で需給の逼迫が相次ぐ。20日も電力広域的運営推進機関が北海道、東北、沖縄を除く7地域で企業に自家発電設備の稼働増を要請した。

林会長は電力融通で「今夏の安定供給は守られている」としつつ、「需給バランスが厳しい水準まで来る時代になっている」と述べ、国へ電源新設時の投資回収の予見性を高める支援策の強化を求めた。

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