CJフーズジャパンが「bibigo」ブランドで展開する「マンドゥ」と「プルコギキンパ」

韓国発の音楽やコスメなどが若者のライフスタイルに浸透し、韓国への興味・関心が一段と高まっている。「第4次韓流ブーム」とも言われるなか、その影響は食卓にも及び、韓国関連食材の市場は5年で約1.5倍に拡大している。大手食品メーカーは相次ぎ韓国食品「Kフード」を充実させており、手軽に本格的な料理を楽しみたいという需要を取り込む。

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韓国の大手食品メーカーの日本法人、CJフーズジャパン(東京・港)が手掛けるグローバル韓食ブランド「bibigo(ビビゴ)」が好調だ。韓国風ギョーザ「マンドゥ」やキムチ、調味料などを展開する。売り上げは2桁成長を続けており、2024年3月には例年より多い7商品を投入した。

新商品は全て冷凍食品だ。韓国料理を目にする機会は増えている一方で、材料をそろえることや味付けが難しいといった理由から、自宅での調理にハードルを感じている消費者も多い。そこで、本格的な味を手軽に楽しめる冷凍食品や調理キットに注力する。

同じく韓国の食品メーカーの日本法人である大象ジャパン(東京・中央)は21年からキンパなどの冷凍食品の販売を始めた。順調に売り上げが伸長するなか、現在は約20品を販売する。秋に発売する商品を含めて今年度は4品を追加し、商品ラインアップを広げる。

担当者は「ドラマで韓国料理が登場するなどして認知が高まっている。ヘルシーな韓国料理は日本の消費者にもなじみやすく、ブームに乗る形で売り場も広げている」と話す。

メーカーによる商品の拡大などを受けて、Kフード市場は成長している。調査会社インテージ(東京・千代田)のデータをもとに味の素が推計したところ、23年度の韓国関連食品の市場規模は約290億円と、18年度比で約1.5倍に拡大した。

日本の大手食品メーカーもKフード関連商品の強化に乗り出している。味の素は韓国料理の合わせ調味料「Cook Do KOREA!(クックドゥコリア)」を8月に全面リニューアルした。商品数を2品から4品に増やし、パッケージデザインも変更した。

味の素は「Cook Do KOREA!」を8月にリニューアルし、商品数を4品に増やした

同社が消費者のデータを収集・解析したところ、韓国メニュー用調味料には「本格的な味わい」と「自分では作るのが難しそう」、「米がすすむこと」に価値を感じると分析。そこで韓国製の調味料などを配合し、より本格的な味わいに仕上げた。24年度に約10億円の売り上げをめざす。

日本ハムも23年に韓国料理を電子レンジ調理で楽しめる総菜ブランド「K-KiTCHEN(ケーキッチン)」を立ち上げた。第1弾としてヤンニョムチキンとタッカルビの2商品を発売し、24年2月にチャプチェなど2商品を追加した。今後も需要が伸びるとみて、商品の追加などを検討する。

韓国は国家戦略としてKフードの輸出に力を入れている。韓国政府は24年2月、韓国料理産業の世界市場規模を27年までに21年のほぼ2倍に拡大する目標を掲げた。韓国では少子化が一段と進んでおり、人口減によって国内市場のさらなる成長は見込みにくい面がある。韓国食品メーカーは加工食品の販路拡大や素材販売などの食品卸売事業で海外の開拓を急いでいる。

(荒木玲)

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