記者会見するS'UIMINの代表を務める筑波大学の柳沢正史教授(3日、東京都千代田区)

アリナミン製薬(東京・千代田)は3日、筑波大学発スタートアップのS'UIMIN(スイミン、東京・渋谷)と共同研究を始めたと発表した。「疲れと睡眠の関係」に関する研究で期間は3年間を予定する。疲労や睡眠のメカニズム解明や改善につながる製品開発などにつなげる。

S'UIMINは睡眠研究の第一人者である筑波大学の柳沢正史教授が社長を務めるスタートアップだ。柳沢教授は睡眠と覚醒の切り替えをつかさどるホルモン「オレキシン」を発見したことでも知られている。柳沢教授の研究成果は不眠症の治療薬開発にもつながった。

今回、アリナミン製薬と共同で研究するのは疲労と睡眠の関係の解明だ。疲れがたまると眠くなるという状況は、具体的なメカニズムが分かっていない。まず有酸素運動や筋力トレーニングなど運動負荷の異なる身体疲労に対し、睡眠の変化を調べる。

睡眠の質が低下した状況で、アリナミン製薬のビタミン剤に含まれる「フルスルチアミン」の有効性を確かめる予定だ。

柳沢教授は「適切な身体疲労があると睡眠が深くなることは知られているが、仕組みは分かっていない。そこが最初の切り口になってくる。研究は探索的に進めていきたい」と話した。

アリナミン製薬はビタミン剤のブランド戦略に注力している。21年には睡眠に着目したドリンク剤の販売を始めた。研究の成果についてはニーズの発掘や製品の多様化など企業戦略への活用を見据える。

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