量子コンピューター実用化を早める技術を発表した富士通研究所の佐藤信太郎フェロー(左)と大阪大学の藤井啓祐教授

富士通と大阪大学は共同で量子コンピューターの計算素子「量子ビット」を高精度で操作し、効率的に使える技術を開発した。量子ビットの数が少なくても大規模な計算ができることを示した。量子コンピューターの実用化につながる成果としている。

量子ビットを制御する技術を新たに開発した。具体的には「位相回転」とよばれる量子ビットの回転角度を精密に操作できるようにし、計算効率を改善した。

予備の量子ドットをあらかじめ用意することで、量子ビットの状態を維持しやすくし、エラーが起きる確率を1000分の1に抑えた。また、量子ビットの稼働率を上げる仕組みを考案し、計算時間を10分の1以下に短縮した。

位相回転を応用した計算手法は高温超伝導など複雑な構造をもつ物質内部の再現などに主に使われる。実際に物質の状態をシミュレーションしたところ、6万の量子ビットで現行のスーパーコンピューターで5年かかる計算を10時間でこなせることを確認した。実用的な計算でスパコンを超えるにはこれまで100万の量子ビットが必要だとされてきた。

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