東京電力ホールディングスの小早川智明社長(中央左)が柏崎市の桜井雅浩市長に柏崎刈羽原子力発電所の一部廃炉などの考え方を記した文書を提出した(22日午前、柏崎市役所)

東京電力ホールディングスは22日、柏崎刈羽原子力発電所1〜5号機(新潟県)の一部廃炉の判断を前倒しすると発表した。原発7基が立地する地元の負担軽減に努め、6、7号機の再稼働へ理解を求める。福島第1原発の廃炉を支えるには1基運転で1000億円の収支改善効果がある柏崎刈羽の再稼働が不可欠で、東電は新潟県から地元同意の取得を急ぐ。

同日、小早川智明社長が柏崎市の桜井雅浩市長と面談し、一部廃炉について6、7号機の再稼働から2年以内に判断する方針を伝えた。従来は5年以内だった。7号機の再稼働が見通せた段階で検討状況を説明することも約束。桜井市長は「誠実な回答がなされた」とし、再稼働の要請があれば応じる姿勢を示した。

同じ立地自治体の刈羽村も賛同する姿勢で、新潟県が同意がすれば再稼働できる状態となった。もっとも県からの同意取得は難航。県は国と東電に災害時の避難路の整備や地域貢献の強化を求める。桜井市長は東電に県内の自治体が実施する再生可能エネルギー事業に協力する基金の創設を提案し、小早川社長は検討する姿勢を示した。

東電は柏崎刈羽の再稼働を視野に20年代に経常利益で3000億円を稼ぎ、30年度以降に純利益で4500億円を目指す方針を掲げる。デブリ(溶融燃料)の取り出しなど福島第1原発の廃炉と事故後の賠償で年5000億円を拠出し続ける必要がある。経営再建との両立には再稼働による収支改善が欠かせない。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。