日本郵船はメタノールを燃料に使う貨物船を初めて導入すると発表した。常石造船(広島県福山市)が建造中で2025年春までに完成させる。メタノールはアンモニアなどと並ぶ重油の代替燃料として期待され、航行中の二酸化炭素(CO2)の排出量を7〜8割減らせる。既に建造中のアンモニア船と両輪で海運の脱炭素化を進める。
日本郵船子会社でばら積み船を手掛けるNYKバルク・プロジェクトがメタノール燃料船の完成後に、常石造船グループから一定期間借り受ける形で運航する。
建造中のメタノール燃料船は穀物や鉱石を含めた多様な貨物輸送に使う。全長は200メートルで全幅は32.25メートル、深さは19.15メートルあり載貨重量が6万5700トンの大型船になる。
燃料に使うメタノールは再生可能エネルギー由来の電力で水素をつくり、食品廃棄物や家畜の排せつ物から取れるCO2と合成してつくる「グリーンメタノール」にする想定だ。船のエンジンにはメタノールのほかに従来の重油も併用でき、メタノールの補給体制が整っていない港でも寄港しやすい。
メタノールはアンモニアや水素と並びCO2の低減につながる次世代の燃料として注目される。日本郵船は24年内にアンモニアを燃料とするタグボートを運航させ、26年にはアンモニア燃料の貨物船を完成させる計画だ。
アンモニアは有毒性があり、安全性が担保されているかが重要になる。一方でメタノール燃料を使うエンジンは既に実用化されており、代替燃料としてすぐ活用しやすい利点がある。
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