備蓄する石油の在庫評価益が膨らんだ(都内にあるENEOSのガソリンスタンド)

石油元売り大手3社の2024年4〜6月期の連結決算が9日、出そろった。ENEOSホールディングス(HD)、出光興産、コスモエネルギーホールディングス(コスモHD)の全てで大幅な増益となった。原油価格の上昇と円安により、備蓄する石油の在庫評価損益が改善した。

ENEOSHDが9日発表した純利益は前年同期比78%増の816億円だった。備蓄する石油の在庫評価損益が377億円の差益(前年同期は309億円の差損)に転じた。ガソリンや軽油など石油製品の利幅も好調で、需要減による販売量の減少を補った。

コスモHDが同日発表した純利益は17倍の246億円だった。今期から会計基準を変更した。在庫評価損益が87億円の差益(前年同期は171億円の差損)となった。出光の純利益は2倍の950億円だった。

石油元売り会社は法律に基づき、国内消費量の70日分以上を備蓄する義務がある。原油価格の上昇と円安が進むと仕入れ時に比べて石油在庫の価値が膨らみ、会計上の利益になる。この上下が決算に大きく影響する。

決算内容を説明するENEOSHDの田中副社長(9日、東京都千代田区)

25年3月期通期の見通しは全3社が据え置いた。各社で4〜6月期の原油価格と為替が業績にプラスに影響したものの、通期では変動するリスクが高いと判断した。ENEOSHDの田中聡一郎副社長は9日の決算記者会見で「7月以降は(4〜6月期に比べて)原油価格が下がり、為替は円高方向に振れる見通しで計画している」と説明した。

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