ゼネコン大手の損益が改善している(新宿駅西口地区で進む大成建設の工事現場)

大手ゼネコン4社の2024年4〜6月期の連結決算が9日、出そろった。大林組、鹿島、大成建設の3社で営業損益が前年同期より改善した。各社では工期が長い大型の建築工事を中心に資材価格の高騰や人件費の上昇で工事損失が相次いできたが、受注時の採算を確保する取り組みが奏功して業績を底上げし始めている。

同日発表した大成建設の営業損益は187億円の黒字(前年同期は80億円の赤字)と改善した。国内の建設工事が順調に進み、売上高が伸びた。前年同期に都内の建築工事で多額の工事損失引当金を計上した反動があったほか好採算の建築工事が増えた。

6月に平和不動産を持ち分法適用会社とし、保有不動産を含めた同社の企業価値と買収額の差を反映した投資利益を計上。政策保有株の売却益も最終利益を押し上げた。

既に決算を発表済みの各社の営業利益は、大林組が3.7倍の153億円、鹿島は2%増の252億円だった。営業利益が70%減の17億円だった清水建設は売り上げが伸びやすい工期後半の工事案件が少ないことが収益を押し下げた。通期目標に向けて「想定の範囲内で順調に進捗している」(同社経理部)という。

大成建設の建築工事の完成工事利益率(単体ベース)は4.6%に改善した。前年同期はマイナス3%だった。大林組(改善幅2.9ポイント)や鹿島(0.1ポイント)、清水建設(0.1ポイント)もそれぞれ改善した。受注時にコスト上昇のリスクを厳しく見積もるなどの取り組みが寄与して、24年4〜6月期で改善の兆しが出てきた。

建築工事の完成工事利益率は25年3月期の通期に4社とも5%を上回る見通しだ。野村証券の浜川友吾リサーチアナリストは慢性的な人手不足を背景に安値受注が起こりにくい状況などを踏まえ「競争環境の悪化リスクは限定的」と指摘する。大成建設経理部は「低採算の工事がまだ複数あり、利益率の改善は途上にある」という。

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