運賃改定で南海電鉄は大幅増益となった

鉄道大手18社の2024年4〜6月期の連結決算が9日、出そろった。純利益は15社で前年同期より増えた。新型コロナウイルス禍からの人流回復で運輸収入が増えた。南海電気鉄道をはじめ運賃を改定した企業の伸びが目立った。

9日発表の小田急電鉄の純利益は2.3倍の251億円で過去最高となった。ホテル運営会社UDSの売却益を計上した。株主還元の拡充へ最大200億円の自社株買いも発表した。発行済み株式(自社株を除く)の5%に当たる1800万株を上限に買い付ける。

各社の業績をけん引したのが経済再開による運輸収入などの拡大だ。18社の運輸収入の合計はコロナ前の18年4〜6月期の99%まで回復しつつある。同日発表した近鉄グループホールディングス(GHD)は22%の増益だった。同社では人流の回復が鉄道やホテル・レジャー施設の利用拡大にもつながっている。

運賃を値上げした企業では利益拡大が際立った。南海電鉄の純利益は67億円と59%増えた。23年10月に運賃を平均10%引き上げた。特に関西空港と泉佐野を結ぶ空港線は訪日外国人(インバウンド)の利用増加などで定期外を中心に旅客人員が伸びた。同日発表の名古屋鉄道は45%の増益だった。3月に実施した鉄道運賃の引き上げが寄与した。

不動産やホテルなどの非鉄道事業も業績に寄与している。阪急阪神ホールディングス(HD)は37%の増益となり過去最高だった。不動産では阪神百貨店梅田本店(大阪市)直結の複合ビル「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」などのオフィス賃貸が堅調だった。相鉄ホールディングスも不動産業が業績をけん引した。

旅客需要の拡大が一服するなか、鉄道大手各社の今後の業績動向を占ううえで値上げの動向が注目される。JR九州は7月19日に運賃改定を国土交通省に申請した。同社としては1996年以来の改定になる。認められれば25年4月から普通運賃や定期、特急料金などで平均15%の値上げとなり、169億円の増収を見込んでいる。

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