6日の東京株式市場で日経平均株価(225種)が急反発、過去最大の上げ幅3217円04銭となり、3万4675円46銭で取引を終えた。前日に過去最大4451円と歴史的な下落幅を記録したが、買い戻しが広がった。株価の乱高下にやきもきした個人投資家も少なくなさそうな局面だが、株への投資を直接行っていない人にとっても影響はあるのか。専門家に聞いた。(市川千晴)

終値の上げ幅が過去最大となった日経平均株価を示すモニター=6日、東京・丸の内で(平野皓士朗撮影)

◆金利は、為替は、日銀は…

 住宅ローンへの影響を指摘するのは、ふくおかフィナンシャルグループの佐々木融氏。日銀は先月31日の政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げる追加利上げを決定した。これを受け、メガバンクが9月に住宅ローンの変動金利の指標となる「短期プライムレート」の引き上げを発表している。   ただ、日銀の利上げも今回の株価下落の一因となったとみられ、政府も事態を重く見ているため、今後について佐々木氏は日銀が「政策金利を上げづらくなる可能性があり、住宅ローンの(変動)金利も上がりづらくなる」と指摘。このため、株価下落に伴いやや円高に振れた為替相場も「中長期的に円安傾向に戻りやすくなる」とみる。

◆GPIFは大丈夫?

 年金はどうか。公的年金の財源になる積立金は、厚労省の所管、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が金融市場で運用し、株は全体の4分の1を占める。株高で運用収入が増え、積立金が上振れれば、制度の給付水準も上昇する可能性につながる。2023年度の運用収益は、国内外の株高と円安の影響で過去最大の45兆4153億円だった。  一方で、株価が下がれば運用収入が減る恐れもある。だが、今回の乱高下による年金財政への影響について大和証券の細井秀司氏は、「ほぼない」とみる。GPIFは積立金を、国内株式のほか、国内債券、外国債券、外国株式にも4分の1ずつ分散して運用しているためで、「株価は下落したものの債券は上がっている。損失は軽減されている」と話した。 

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