味の素が5日発表した2024年4〜6月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比12%減の239億円だった。本業のもうけを示す事業利益は半導体用の電子材料の回復などで増益を確保したものの、資金還流を目的に海外子会社からの配当を増やしたため、配当支払時に現地国での課税額が膨らんだ。
売上高は8%増の3655億円、事業利益は1%増の430億円で過去最高だった。為替の円安も23億円の利益の押し上げ要因となった。
電子材料や医薬品などの「ヘルスケア等」の事業利益は16%増の80億円だった。半導体用の電子材料は生成AI(人工知能)向けを中心に好調だった。医薬用・食品用のアミノ酸も増益だった。医薬品の開発製造受託(CDMO)は23年に買収した米遺伝子治療薬の新興企業への投資がかさんだものの、セグメント全体では増益だった。
主力の調味料・食品の事業利益は2%減の304億円だった。海外で加工用うま味調味料の競争が激しく単価が下がった。国内ではコーヒー豆の原料価格上昇や円安を受け、インスタントコーヒーを4月に値上げしたが吸収しきれなかった。
構造改革を進める冷凍食品事業は28%減益だった。国内での積極的な広告活動の費用増加が負担となった。海外は北米ではギョーザの販売が好調に推移した。
25年3月期の業績見通しは据え置いた。売上高は前期比6%増の1兆5270億円、純利益は9%増の950億円と最高益を見込む。
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