東海道新幹線の保守用車の衝突現場(7月22日、愛知県蒲郡市)=JR東海提供

7月に東海道新幹線の一部区間の終日運休を招いた保守用車同士の衝突脱線事故で、JR東海は5日、一部の車両のブレーキ機能が本来なら使用停止の水準まで低下していたことが原因と明らかにした。同社は点検ルールがメーカーの想定と異なっていたとして、点検方法の強化などの再発防止策を講じる。

事故は7月22日午前3時40分ごろ、愛知県内の豊橋―三河安城駅間で発生した。線路に敷く石を積んだ保守用車が、石をならすための別の保守用車に追突して脱線。事故車の撤去に時間を要し、浜松―名古屋駅間で終日運休となった。

JR東海によると、追突した保守用車の少なくとも3両で、車輪に押し当てるブレーキパッドにあたる「制輪子」が摩耗し、正しく密着せず速度を抑えられなかった。点検が甘かったことでブレーキ機能の低下に気づけなかった。

ブレーキの利き具合を点検するには、制輪子を車両に押し当てるための棒に圧力をかけ、動いた距離で判断する。一定程度、押し出す距離が長くなれば使用をやめる。JR東海は点検時にかけた圧力がメーカーの想定より小さく、結果的に押し出せる長さが1.4センチメートル短くなっていた。

点検するブレーキの部位も認識に食い違いがあり、JR東海はメーカーがつけた目印から1センチメートルずれていた。合計で2.4センチメートル分、押し出せる距離を短く測定していた。

JR東海は再発防止策として、点検時には最大圧力でブレーキをかけるほか、調整が必要とわかった時点で保守用車を使用しないなどの方針を示した。

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