日銀は31日、前日に続いて金融政策決定会合を開き、政策金利である短期金利(無担保コール翌日物レート)の誘導目標を「0~0.1%程度」から「0.25%程度」に引き上げることを決めた。声明文で「2%の『物価安定の目標』の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和度合いを調整することが適切であると判断した」と説明した。現在「月間6兆円程度」としている国債買い入れ額を2026年1~3月までに月間3兆円程度に段階的に縮小する計画も決定した。
利上げは、3月のマイナス金利政策の解除に続き今年2回目。国債買い入れ減額の開始と併せて、金融政策の正常化が一段と進む。植田和男総裁が31日午後に記者会見し、決定内容を説明する。
利上げには中村豊明、野口旭の両審議委員が反対した。
利上げに当たり、日銀は、賃上げが中小企業にも波及しつつあり、賃金と物価の「好循環」が続いていると判断。物価高で個人消費には弱さがみられるが、賃上げや定額減税が下支えになると見込む。
先行きの金融政策については、経済・物価が見通しに沿って推移すれば、「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」とした。
国債買い入れの減額計画では、月間6兆円程度の購入額を8月から段階的に減らし、金融市場で長期金利がより自由な形で形成されるように促す。四半期ごとに4000億円程度ずつ減らしていく。25年6月の決定会合で中間評価を行い、26年4月以降の買い入れ方針を検討する。異例の大規模金融緩和の下で約600兆円に膨らんだ国債保有残高を本格的に圧縮する「量的引き締め」局面に移行する。
日銀は、最新の景気予測「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も公表。24年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)上昇率の見通しを前年度比2.5%(4月時点は2.8%)に下方修正した。政府による電力・ガス料金の補助金再開などが影響する。25年度は2.1%(同1.9%)に引き上げ、26年度は1.9%(同1.9%)とした。
日銀本店=東京都中央区(EPA時事)
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