日銀は30日~31日に開いた金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物=短期金利)を現在の「0~0.1%程度」から「0.25%程度」に引き上げる追加利上げを決定した。利上げはことし3月にマイナス金利政策を解除して以来となる。  国内で賃上げの動きが広がり、日銀が目指す物価上昇率2%目標の達成に近づいたと判断したとみられる。また、外国為替市場で歴史的な円安水準が続く中、政府・与党の一部から円安ドル高局面の是正を求める声を考慮した可能性もある。利上げを行えば、アメリカとの金利差が縮まり、為替相場で円高が進みやすくなる効果が生まれる。

あわせて読みたい

モゲチェック塩澤さんに聞く 日銀追加利上げで住宅ローンはどうなるの?なぜ利上げ?


 今回の追加利上げについては、植田和男総裁が31日午後3時半から記者会見し、決定の理由や背景、足元の景気認識などについて説明する。  7月会合では、歴史的な円安のあおりで食料品やエネルギー価格などが軒並み上昇を続ける中、短期金利を引き上げて円安の是正を図るかどうかが注目されていた。円相場は7月上旬、一時1ドル=161円台まで円安が進んでいたが、ここ最近は150円台前半で推移していた。さらに、31日午前中は、日銀の政策決定をめぐる憶測から円相場が乱高下していた。

◆住宅ローンや設備投資に影響も

 追加利上げをめぐっては、物価高による個人消費の落ち込みで実質消費支出のマイナスが続いている上、賃金上昇が中小企業などに広がっておらず、消費低迷のため追加の利上げは慎重に判断するべきだとの意見も根強かった。ただ、歴史的な円安がもたらす物価高の方が、今後の日本経済に影響が大きいとの見方が強まったとみられる。  政策金利の利上げは、住宅ローンの変動金利の上昇につながるほか、企業が設備投資などで資金を借り入れる際の金利も上昇するため、消費や投資に影響が出る恐れもある。こうした状況で利上げを行った日銀の政策判断の是非が今後が問われることになる。  日銀は今回の会合で、「異次元の金融緩和」として実施している長期国債の買い入れ額を減額する方針も決定した。これまで毎月6兆円程度を買い入れていたが、今後は2年間で3兆円規模に減額する方針も決定した。(石川智規)

日本銀行本店



鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。