小林製薬は26日、製造していた紅麹(こうじ)原料の供給状況について厚生労働省への報告漏れがあったと発表した。自主回収の対象とした自社サプリメントと同等量以上の紅麹原料を1日に摂取する製品はないとしていたが、実際にはあった。供給先のメーカーが販売企業から生産を受託した製品を報告に含んでいなかった。

小林製薬が直接原料を卸した企業は52社、卸業者などを挟んで仕入れた企業が重複を含め173社ある。厚労省への報告に誤りがあった理由については、供給先企業が他社から生産を受託したケースを「報告対象に含める必要はないとしていた」(小林製薬)と説明した。

自己解釈で報告対象を過少に見積もっていたことは、これまでも批判を浴びている。自社サプリとの関連性が疑われる死亡事例数について「因果関係が明確な場合に報告する」と基準を独自解釈し、行政への報告が遅れた。調査対象の死者数が6月末に従来の5人から76人増えた。

今回、新たにわかった製品による健康被害は足元で確認されていないが、なかには有毒成分「プベルル酸」が検出された生産ロットの原料を含むものもあった。

該当する製品を生産したのは5社で、そのうちノエビアが富士カプセルに生産を委託していた「DHA&EPA」と、サンクウェルがピィシーシステムに委託していた「脂減流」は、問題の生産ロットの紅麹原料を使用していた可能性がある。いずれも3月下旬に自主回収しており、現在は市場には流通していない。

ほかに、セイユーコーポレーションとアスナロ化工研究所、日本ヘルスも一定量以上の紅麹原料を使用する製品を生産していたが、問題の生産ロットの原料は使用していなかった。小林製薬は流通先を精査し「遅くとも31日までに正確な報告をする」としている。

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