大井川流域市町の首長との意見交換会であいさつする静岡県の鈴木知事(23日、静岡県庁)

静岡県の鈴木康友知事と大井川流域市町の首長が23日、リニア中央新幹線工事を巡る意見交換会を県庁で開いた。山梨県とJR東海との3者合意など最近のリニアの動きを県が説明した。鈴木知事は会合後、「工事後の影響や対策も担保してほしいとの声が出た」と語り、JR東海や国を含めて協議する考えを示した。

鈴木知事は会合前の記者会見で「テーマは設けず自由に意見交換したい」との意向を示していた。意見交換会の冒頭で鈴木知事は県境付近の掘削(ボーリング)調査や工事を巡り3者合意に至ったことなどに触れ、「JR東海と対話できる環境が整った」と話した。改めてリニア推進と水資源確保などの両立を目指すと協調した。

鈴木知事が大井川流域の首長と意見交換するのは初めてで、川勝平太前知事が2022年に開いて以来となる。森貴志副知事が県のリニア専門部会での議論や岐阜県内でのリニア工事に伴い起きた井戸などの水位低下についても共有した。冒頭と県の報告以外は非公開だった。

鈴木知事は会合後に報道陣に対し、「丁寧で細かい情報提供を求める声があった」とした。工事後の長期的な担保については最終的に文書などで残す方針だと明らかにした。各首長は川勝知事時代を踏まえて工学的な議論を求めたほか、静岡市を含めた情報公開の提案などがあった。

JR東海は山梨県側から静岡県側へ掘削調査を進めており、県境を越える前に大井川利水関係協議会の了解を取り付けたい考え。川勝知事時代に県は県内での掘削調査に反対していた。今回の意見交換会を経て容認に傾くかどうかが今後の焦点になる。

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